JCO臨界事故から25年:解体作業と安全対策の現状

JCO臨界事故から25年:解体作業と安全対策の現状

JCO臨界事故から25年:解体作業が進む旧転換試験棟

1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工会社JCO(ジェー・シー・オー)の事業所で、国内初の臨界事故が発生した。この事故により、2人が死亡し、660人以上が被ばくした。25年後の現在、この事故の現場となった旧転換試験棟では、放射性管理区域の解除に向けた解体作業が進行中である。

解体作業の現状

解体作業の一環として、ウランを含む放射性廃棄物の処理が重要な課題となっている。これまでに、容量200リットルのドラム缶1万2千本分の放射性廃棄物が発生しており、2025年度の完了目標までにさらに4千本分が増える見込みだ。従業員は放射性物質の漏れを防ぐため、日常的に目視で保管状況を確認し、ドラム缶の腐食などの異常が見られれば詰め替えを行う。この点検作業は、最終処分が終わるまで継続される。

事故後の安全対策

事故の翌年2000年、JCOは「絶対安全、絶対無事故」「基本を大切に、基本を守る」を行動指針に定めた。年4回の安全教育を全従業員35人に課し、廃棄物の詰め込み作業の監視や取締役による巡視など、社内の法令順守を徹底してきた。当時の事業所長、石川義治氏(63)は、「臨界事故は起きないとの誤った認識があった」と振り返り、「事故を起こさないため、基本を守り、それを継続していく」と強調している。

国の対策

事故を教訓に、2000年7月には改正原子炉等規制法が施行された。この法律では、核燃料加工施設での定期検査が追加され、保安規定が守られているか確認するための原子力保安検査官が配置された。原子力事業所では、安全文化の醸成が求められた。

依然として続く問題

しかし、茨城県内の原子力事業所では、2020年以降、毎年1件以上の保安規定違反や不正行為が指摘されている。2021年6月には、核燃料研究会社「日本核燃料開発」(茨城県大洗町)で機器点検の虚偽記録の作成が判明した。2021年に同様の不正が発覚したにもかかわらず、改善せずに続けられていた。

原子力規制庁の担当者は、「担当者の交代などにより、事業者に保安規定を守る意識が薄れているのではないか」と指摘している。

県の取り組み

茨城県は2000年から、原子力安全協定を結ぶ県内事業所への立ち入り調査を開始した。毎年1回、施設の点検や放射性廃棄物の保管、事故の再発防止策などの状況を確認している。2023年度までに、事業所に改善を求める「指摘事項」は1件にとどまる。一方、国への報告を必要としないトラブルは多く、2022年7月から2024年7月にかけて、日本原子力発電東海第2原発(東海村)で8件の火災を含む22件の事故が発生している。

今後の課題

JCO臨界事故は国内初の未曽有の事態であり、県民の記憶に深く刻まれている。県防災・危機管理部の山崎剛部長は、「他の事業所で起きた事故も自分ごとと捉え、ゼロにしていく地道な取り組みを継続するしかない」と気を引き締めている。

JCO臨界事故から25年を迎える30日、事故の教訓を見つめ直し、安全確保に向けた取り組みを継続することが重要である。

(茨城新聞社)