【ゴルフ上級者必見】大型ドライバーとマッスルバックアイアンが引き起こすシャンクの真実と対策【後編】
重心距離が異なるクラブを使用することで、シャンクが出やすくなることがよくあります。前編では、タイプ別の応急処置法と練習場での根本的な治療法について小林大介プロに教えていただきました。しかし、シャンクは初心者やアベレージプレイヤーだけでなく、上級者にも起こり得る問題です。後編では、上級者にも存在するシャンク予備軍について小林プロに話を聞きました。
小林プロは、スライスやダフリは腕前が上がれば自然と改善されますが、シャンクはそう簡単には直らないと指摘します。シャンクには、腕前に応じて出やすいパターンがあるそうです。
「『突っ込み型』シャンクは、力みや当てにいく動きが原因で、初心者やアベレージクラスに多い傾向があります。一方、『あおり型』シャンクは、クラブがインサイドからグリップが先行して下りてきて、最後のリリースができずに起こります。これはダウンスウィングの『タメ』ができているため、中級者以上のレベルのプレイヤーに見られる傾向があります。」
さらに、最近では上級者特有のシャンクが密かに増えているそうです。これは、大型ドライバーヘッドとマッスルバックアイアンという、上級者好みのセッティングによって引き起こされることが多いそうです。
「本来、小ぶりで重心距離が短いアイアンはシャンクが出にくいですが、大型ドライバーヘッドとの組み合わせで通常とは異なる動きが生じることがあります。」
小林プロが推測するこの組み合わせがもたらすシャンクの原因は以下の通りです。
「大型ドライバーと小ぶりなアイアンを同じ軌道で打つと、アイアンは重心よりもトウ寄りに当たりがちになります。ドライバーの重心距離は平均でネックから4センチ、アイアンは3.5センチなので、5ミリ短くなっています。そのため、アイアンの重心で打とうとすると、無意識に手元を前(体から離す)に出して、ヒール寄りで打とうとする意識が出てきます。」
460CCヘッドとマッスルバックアイアンの組み合わせがシャンクの危険性を高める理由は以下の通りです。
- 460CCヘッドは重心距離が長い
- マッスルバックは重心距離が短い
460CCヘッドの感覚でアイアンを打つと、トウ側に当たりやすくなります。そのため、意識的にネック寄りで打とうとする傾向が強まり、シャンクが出るリスクが高まります。
「この2つの要因が重なって、よりヒール寄りで打つことが強調され、ヒールが前に出ます。マッスルバックはフェースが小さいため、ネックの部分が太く見え、ヒールに当たりやすくシャンクが出ます。」
上級者でシャンクが出てしまう人は、クラブの重心位置の違いを感じ取り、手先で調節してネックに当ててしまう傾向があります。そのため、治療法としては、ドライバーとアイアンを交互に打つ練習が効果的です。
- ドライバーとアイアンを1球1球、交互に打つ
この練習により、重心距離が異なるクラブを打つときに自然に重心位置に打点を合わせられるようになり、シャンクのリスクを減らすことができます。
さらに、マッスルバックアイアンでも、重心距離が長いモデルに変える、または「マッスルバック風」の大きめのヘッドの中空アイアンに変えることで、重心距離の差を短くすることも、シャンクを防ぐ選択肢の一つです。
「シャンクのリスクを減らすには、アイアンを替えることも有効です。見た目はマッスルバックだが中空構造でヘッドが大きいミズノプロ245などは、候補の一つです。シャンクに悩まされている人は、セッティングを見直すことも検討してみましょう。」