「下見後の中止に費用請求」万博協会方針、吉村知事の反対表明に世論の反響

「下見後の中止に費用請求」万博協会方針、吉村知事の反対表明に世論の反響

2025年4月13日から開催される「大阪・関西万博」において、大阪をはじめ、近畿6府県の児童・生徒などを学校単位で無料招待する予定がある。しかし、10月7日に朝日新聞デジタルが、引率する教員が会場を下見した後に引率が困難と判断し、来場を取りやめる場合、日本国際博覧会協会(万博協会)が無料としていた下見の入場券代を学校側に請求する方針であることを報じた。この方針に対し、教育現場から疑問や怒りの声が上がっている。

万博協会は、1団体につき最大3人まで無料で下見を認め、「予定どおり来場する場合は請求しない」と説明している。しかし、現地の小学校教諭は、次のように憤っている。

「報道によると、下見したうえで来場を辞退した場合、会期中の一日券(大人7500円)の金額を、下見した人数分、徴収するそうです。これは規約で定められていると聞いています。しかし、学校側からすれば、生徒の休憩場所、トイレの位置、避難経路などを確認することは当たり前のことで、現地の下見は必須です。その結果、参加を見送る学校もあるでしょう。それなのに『参加しないなら金を払え』はあまりにも乱暴です」

万博協会は、朝日新聞の取材に対し、「万博に来るかどうかを決めるための下見ではなく、来ることが前提での下見を想定していた」と釈明している。しかし、報道から2日後の9日、大阪府の吉村洋文知事が会見で「これは協会がおかしいと思います」との見解を示し、是正を求めていくと断言した。

「吉村知事は記者団に『(下見をする教員は)万博を楽しみに行っているわけではない。安全に子どもたちを引率するための下見であって、その結果、行かないと判断することも当然、あり得る。そのとき下見の入場料を取るのはおかしい。僕は反対』と述べた」

しかし、吉村知事は万博協会の副会長でもある。この発言に、知事にあきれる声が多数上がっている。SNSには、次のような投稿が見られた。

《万博協会の副会長なのに、世論の批判を浴びると「おかしい」と言い出す》 《協会の副会長が協会に申し入れですか 組織としておかしくないでしょうか》 《世論の批判が強くなると自分の立場(万博協会副会長)を忘れて世論と一緒に批判する》 《苦言も何も、入場料取る言うてる側の人!》 《何他人事みたいに言ってるの?あんたも協会副会長じゃないの?》

開幕まで200日を切っている大阪・関西万博。無事に開催までこぎつけられるか、注目が集まっている。