「ごっこ倶楽部」が目指す、新たな縦型ショートドラマの世界…TikTokで注目を集める
「ごっこ倶楽部」は、俳優5人が2021年に結成したクリエイター集団で、縦型ショートドラマの制作に注力している。彼らは「日常で忘れがちな小さな愛」をテーマに、短時間で見られる動画を作成している。
創設者で総監督の多田智さん(30)は、日本人の父と中国人の母の間に日本で生まれ、幼少期から中国・大連で育った。高校から日本に戻り、東京の芸能事務所の養成所に入り、20歳の時にCMに出演して芸能界デビューを果たした。芸能活動だけで生活を維持するのは難しかったため、飲食店でのアルバイトをしながら活動を続けていた。
23歳の時に、創設メンバーのひとりである早坂架威さん(28)と舞台公演で共演し、お互いに表現の手段を持ちたいと考えていた。当時はYouTubeの活用が盛んになり、多田さんは高校の同級生と渋谷でインタビュー動画を制作したが、再生回数が数千回にとどまり、割に合わないと感じてやめた。
26歳の頃、中国の縦型動画アプリ「抖音(ドウイン)」で縦型ショートドラマの流行に気づき、その制作方法や収益化の仕組みを徹底的に調査した。多田さんは、1分半や2分の短い時間で感動を引き出すことが可能だと感じ、これはドラマの進化だと確信した。
多田さんは、縦型ショートドラマの制作に取り組むクリエイター集団の結成を決意し、早坂さんに声をかけた。早坂さんは多田さんの提案に賛同し、さらに3人のメンバーを誘い、2021年5月に「ごっこ倶楽部」を結成した。
「ごっこ倶楽部」は、芸能活動の不条理な経験や努力が必ずしも報われない現実を踏まえ、努力の形を変えることを目指している。彼らは、演技力だけでなく、新しい技術や意欲を持つことが重要だと考え、その理念を共有するメンバーで集団を結成した。