原千晶、50歳で新たな人生を釣りと酒と共に満喫

20年の時を経て、再び輝きを取り戻す原千晶

俳優でタレントの原千晶さんが、今年50歳を迎えました。20歳の時にクラリオンガールに選ばれ、TBS系「ワンダフル」の司会などで活躍した彼女は、30歳で子宮頚がんを発症し、35歳の時には子宮体がんと診断されました。2度のがんを乗り越えた原さんは、2020年に千葉県の外房に移住し、釣りに熱中しています。最初のがん発覚から20年。今、彼女は何を思うのでしょうか。

新しい生活の始まり

2020年4月、原さんは所属していた芸能事務所を退所しました。その頃、新型コロナウイルスが世界中で流行し始めていました。彼女はこの状況を「良いタイミング」と捉え、千葉県の外房エリアに移住することを決断しました。東京から見ると、外房はかなりの田舎で、海も山も豊かな自然に恵まれた場所です。

原さんは、以前から外房エリアが好きで、仕事に行き詰まった時やリフレッシュしたい時には、車を飛ばしてドライブしたり、遊びに行ったりしていました。インターネットで物件を探していたところ、魅力的な賃貸を見つけ、思い切って引っ越しを決めました。当初は、コロナ禍で仕事がなく、のんびりとした「プチ田舎暮らし」を楽しんでいました。

釣りへの熱中

引っ越し後、友人が遊びに来て「釣りをやりたい」と言ったことがきっかけで、原さん自身も釣りに興味を持ち始めました。最初は面倒だと思ったものの、実際に釣りに行ってみると、その魅力に引き込まれました。翌日には釣具屋で道具を揃え、インターネットで情報を調べ、あっという間に釣りにのめり込んでいきました。

原さんが住んでいる場所は、勝浦や小湊などの釣りスポットまで車で30～40分の距離にあります。釣り場で出会ったおじさんたちに「どうやったら釣れるんですか？」や「どこに行ったら釣れるんですか？」と質問すると、皆さん親切に教えてくれました。そのおかげで、アジやイワシを釣るようになり、徐々に自分の思い描く釣りができるようになりました。

釣りの魅力

最初は、小さな魚であるサヨリを延べ竿で釣ることから始めました。釣り糸に餌を付けて垂らすと、魚が食いついてきます。自分のタイミングで釣り上げる面白さに、原さんはますます釣りにのめり込んでいきました。釣った魚を自分で捌き、調理して食べると、その美味しさに感動しました。

釣りをしていると、特に女性が一人でやっていることが珍しいらしく、おじさんたちから「お姉ちゃん、どこから来たの？」と話しかけられることがよくあります。困っていると助けてくれる温かさに触れ、ますます釣りが好きになりました。

成功体験の積み重ね

当時、原さんは芸能界の仕事について迷い、一時的に休んでいました。世の中全体がコロナで不安に包まれる中、釣りを通じて久しぶりに「成功体験」を積み重ねる感覚がありました。右も左も分からない状態で、頑張って道具を揃え、実際に釣りに行ってみると、魚が釣れた。その小さな成功体験が、自分の中で「やった！」という達成感に繋がっていきました。

特に大きな魚を釣った時、大きな達成感を感じます。1メートル以上のタチウオを釣った時は、本当に異次元の体験でした。その成功体験が、さらに大きな魚を釣りたい、もっと上手くなりたいという欲を生み、釣りへの熱中が深まりました。

北海道でのサンマ釣り

原さんにとって最大の釣り体験は、昨年北海道でサンマを釣りに行ったことです。ここ数年、オホーツクや北海道の東の沿岸部でサンマが堤防で釣れるというニュースを見て、「絶対に釣りたい」と思いました。昨年、X（SNS）を見ていたら、知り合いが「今、釣れているよ」と教えてくれたので、その次の日に飛行機を予約し、一人で北海道へ向かいました。

1泊2日で、まずは紋別空港まで行き、レンタカーで移動しました。現地の知り合いが丁寧に教えてくれて、一日で400匹ほどのサンマを釣り上げることができました。入れ食い状態で、釣りをしている間中、アドレナリンが出っ放しで、夢中になって釣り続けました。

釣ったサンマは、発泡スチロールのクーラーボックスに詰め込み、飛行機で東京に持ち帰りました。着いた後すぐに友達に連絡し、お裾分けしました。最近はサンマが高くて手に入りにくくなっているので、友達もとても喜んでくれました。

釣り以外の楽しみ

北海道以外にも、同じような感じで様々な場所に行っています。釣りがメインですが、釣り以外にもお酒が好きなので、飲むのも楽しみの一つです。釣りを始めてから、料理への興味もさらに増しました。釣った魚を必ず自分で持ち帰って、自分で捌いて料理するようになりました。

天ぷらにしたり、お刺身にしたりと、様々な工夫をして楽しんでいます。今住んでいるところは外食できる場所が少ないので、ほぼ100％自炊です。釣り仲間に捌き方を教えてもらったり、YouTubeで調べたりして、何度も練習して覚えました。

50歳の感慨

今年で50歳を迎えた原さんは、好きなことが見つかって夢中になっていることに感慨深く思っています。30歳の時に病気をしてから、命を頂いて20年という時を過ごしてきました。

今年の50歳の誕生日には、偶然、故郷の北海道・帯広での講演会に呼んでいただきました。その日に両親と3人で焼肉を食べて、お祝いできたのは素晴らしい思い出です。

親としては、「もう50歳か」と色々と思うことがあるようです。40歳と50歳の違いを強く感じています。40代はまだ若いと感じることが多いですが、50代は本当に想像がつきませんでした。自分が本当に50代になったんだという不思議な感じがあります。

現在の生活

現在、原さんは落ち着いた生活を送っています。釣りやお酒を楽しみながら、仲間のおじさんたちと過ごすことが多いです。「ほとんど仕事をしていないでしょ？」と冗談で言われることもありますが、今の生活がとても気に入っています。

好きな旦那がいて、魚を釣って、お酒を飲んで…周りからは「最高じゃん」と言われています（笑）。

2度のがん闘病を振り返る

第2回では、2度のがん闘病を振り返ります。原千晶さんは1974年、北海道生まれ。94年、「クラリオンガール」に選ばれ芸能界デビュー。2011年には「よつばの会」を設立し、様々な活動を続けています。