ジョーシス、SaaS管理の課題解決へ新サービス「SaaSドック」&「SaaSキュア」を提供開始

ジョーシス、SaaS管理の課題解決へ新サービス「SaaSドック」&「SaaSキュア」を提供開始

ジョーシスは、2024年10月8日、新サービスとしてSaaS管理の状態を診断する「SaaSドック」とSaaS管理の最適化を代行する「SaaSキュア」を提供開始した。

SaaSドックとSaaSキュアは、SaaS管理において人の判断を介する「ラストワンマイル」を埋めるサービスであり、ITデバイスとSaaSの統合管理クラウド「ジョーシス」のユーザー向けに提供される。

ジョーシスの代表取締役社長CEOである松本恭攝氏は、「テクノロジーとサービスを融合させることで、SaaS管理におけるセキュリティの向上とコスト最適化を実現するラストワンマイルにコミットしていく」と説明する。

現在、DXの進展によりSaaS導入が加速する一方で、情報漏えいリスクやデジタル赤字といった新たな社会的な課題が生まれている。SaaSの利用により情報がクラウドに移り、設定ミスや退職者によるアクセス、取引先のデータ持ち出しなど、さまざまな経路で情報漏えいが発生するようになった。また、海外ITベンダーのサービスを利用することで生じるデジタル赤字も問題となっており、2023年には5.5兆円に達している。

ジョーシスは、これらの社会課題を解決するプラットフォームとして、従業員を起点としたSaaS管理サービスを提供しており、2021年の提供開始から600社以上に利用されてきた。新たにグループ会社のSaaSを本社で一元管理できる「マルチテナントポータル」の機能も提供開始するなど、プラットフォームの機能強化を進めている。

しかし、テクノロジーだけでは解決できないのが、社内コミュニケーションの課題だ。未使用なアカウントを見つけても、情シスの現場では本当に削除してよいかを判断できず、責任者を探し出して、さらに意思決定まで待たなければいけない。結果、多くのコミュニケーションコストが発生する。松本氏は、「SaaS管理には優れたテクノロジーが必須であるが、結局は、社内を動かせないと優れた管理にはならない」と強調する。

SaaSドックは、企業のSaaSの利用状況を診断するサービスで、ジョーシスを用いた可視化に加えて、各部門へのアンケートやインタビューなどの人を介した包括的な調査を実施。SaaS管理者や管理上の不適切な点を特定し、診断書という形で改善案を提案する。

SaaSキュアでは、診断結果からユーザーとポリシーを作成し、不要なアカウント削除や権限変更といったSaaS管理の最適化に必要な作業を全面代行する。SaaSドックは単発の利用料金、SaaSキュアは年間契約での料金で提供され、現時点では価格は未決定。まずは日本のユーザーへ展開される。

実際、ジョーシスはSaaSドックを自社内で試しており、海外拠点を含む250名の従業員、40個のSaaSを診断した。その結果、新たに13人のSaaS管理者、5つの許可されていないSaaSを特定し、管理者の半数は過剰権限を付与されていたことが判明した。アカウントの16%(690個)は削除可能なもので、これは年間3700万円ものコスト削減につながる。

ジョーシスは、同タイミングで国内外の商業銀行による140億円のベンチャーローン調達も発表した。これで同社の創業以来の資金調達は累計319億円に達した。この追加調達の投資先は、2024年10月に海浜幕張で開設した「ジョーシスSaaSオペレーションセンター」に充てられる。同センターは、カスタマーサポートを担うSaaSの専門家チームが運用し、現在は20名体制だが、2025年には10倍の200名規模にまで拡張する予定だ。SaaSドックとSaaSキュアも同チームが提供する。

追加調達のもうひとつの投資先が、プラットフォーム開発だ。ジョーシスは積極的な海外展開を進めており、米Gartnerが2024年に公開したSaaS管理プラットフォームの「マジック・クアドラント」では日本ベンダーで唯一選出された。グローバル展開を加速するため、シリコンバレーとインドにおけるプラットフォーム開発に2年で100億円を投資し、開発速度を10倍に引き上げる予定だ。