大学の非常勤講師と常勤講師:給料と年収の実態と問題点
大学の職員の中でも「非常勤講師」という肩書を耳にしたことのある人も多いでしょう。非常勤講師とは、パートタイムで特定の講義を担当する非正規の講師を指します。一方、常勤講師は大学運営などにも携わり、講義だけでなく様々な業務を担当します。
非常勤講師の収入はどの程度あるのでしょうか。非常勤講師の給料は、大学によって異なる就業規則に基づいて支払われます。例えば、金沢大学では非常勤講師は週20時間程度までの勤務とされ、給与は時間給で支払われます。一般的には、1コマ(90分)当たりおよそ1万円~3万円ほどと言われています。1週間に3コマ担当する場合、1週間で3万円~9万円、4週間(1ヶ月)で12万円~36万円となります。年収に換算すると、144万円~432万円となります。
国税庁が発表している令和4年民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は457万6000円です。これから、非常勤講師の年収は平均年収以下となる可能性があることが分かります。あるアンケートでは、非常勤講師の年収が200万円未満という人が全体の7割近くに上るというデータもあります。
一方、常勤講師の年収は、令和4年賃金構造基本統計調査を基に計算すると、およそ700万円です。非常勤講師と比較すると、270万円~550万円ほども多い収入となり、その差は歴然です。
非常勤講師の問題点としては、講師の仕事は講義をすることだけでなく、講義の準備も重要な業務の1つです。その時間を確保することを考えると、多くの大学を掛け持ちすることは困難です。このような状況から、高学歴でありながら非正規雇用により満足な収入が得られない人を「高学歴ワーキングプア」と呼び、問題となっています。
大学の非常勤講師の平均年収は常勤講師よりも少ない可能性が高いです。講義の準備時間には給料が支払われないため、常勤講師よりも年収が低い可能性があります。しかし、培ってきた知識は決して無駄ではなく、仕事の中で自分の強みを活かせる機会を見つけられる可能性もあります。