「ちゃおデラックス」休刊：少女漫画雑誌の現状と未来への問い

「ちゃおデラックス」2024年11月号、休刊へ

少女漫画雑誌「ちゃお」の増刊号として長年親しまれてきた「ちゃおデラックス」が、2024年11月号（9月20日発売）を最後に休刊することが明らかになった。この号で連載されていた作品の多くは、WEBコミック「ちゃおプラス」で引き続き連載される予定だ。しかし、「ちゃおデラックス」の休刊を惜しむ声が多数上がっている。

増刊号の重要性

かつては、多くの人気漫画雑誌が増刊号を発行していたが、現在はその多くが休刊となっている。増刊号は、漫画雑誌にとって極めて重要な役割を果たしていた。特に、新人漫画家の育成の場として機能していた。漫画賞でデビューした新人漫画家は、すぐに本誌で連載を始めることが難しい。まずは増刊号で読切を描き、実力を試すことが一般的だった。

増刊号で人気が出れば、本誌で読切を発表する機会が得られ、さらには連載に繋がることもあった。増刊号では、ベテラン漫画家と一緒に掲載されることで、読者に新人漫画家を認知してもらうメリットがあった。一方、WEBコミックは読者がお目当ての作品だけを読む傾向が強く、新人育成の場としては弱いという指摘もある。

漫画家の反応

今回の休刊決定は、多くの漫画家に衝撃を与えた。すでに、何人もの「ちゃお」に縁の深い漫画家がX（旧Twitter）にコメントを投稿している。小倉あすかは、「#ちゃおデラックスの思い出」というハッシュタグをつけて、次のようにポストしている。

「ちゃおデラックスが休刊すると聞かされて、割と仕事にならんぐらいショックが大きかったです。この雑誌がなかったら私はここまで来ることはできなかったので、本当に寂しいです。デビュー作から『ヴァンパイアの花嫁』の連載まで、読んできてくださって本当にありがとうございました。」

また、「ちゃお」本誌や「ちゃおデラックス」で大人気のホラー漫画『人間回収車』で知られる泉道亜紀も、次のようにコメントしている。

「ちゃおデラックス休刊…デビュー作から『病棟少年』まで、たくさん掲載していただきました。私の掲載場所のほとんどがちゃおデラックスだったから、寂しいです。長い間、ありがとうございました。」

少女漫画雑誌の現状

「ちゃおデラックス」が休刊に至った背景には、少女漫画雑誌が軒並み苦境に陥っていることが影響していると考えられる。日本雑誌協会が8月7日に公表した2024年4月～6月の3ヶ月間の平均印刷部数によると、「りぼん」が約11万8333部、「ちゃお」が約10万6667部となっている。かつては、「りぼん」は約250万部、「ちゃお」は約100万部を突破していたが、現在は深刻な部数の減少が見られる。

他の少女漫画雑誌の部数も同様に減少しており、「花とゆめ」が約4万2500部、「別冊マーガレット」が3万7333部、「なかよし」が約2万8667部、「Sho-Comi」が約1万2400部、「マーガレット」が約1万1800部となっている。実売部数はさらに少ない可能性があり、書店でも少女漫画雑誌のコーナーは縮小されつつある。以前はコンビニでも配本が行われていたが、現在は雑誌によってはゼロか、1～2部というケースが増えている。

少女漫画の未来

かつては、少女漫画は女の子が必ず通る道とされていたが、娯楽の多様化に伴い、新規の読者獲得に苦戦している。さらに、少子化の影響も深刻で、少女漫画雑誌の読者層が減少している。今後、少女漫画雑誌の休刊が相次ぐと予想する編集者も多いが、逆境に置かれているからこそ、新たなヒット作が生まれる可能性もある。人気漫画が誕生し、少女漫画に再び注目が集まることに期待したい。