筒香嘉智のDeNA復帰:存在感とチームへの影響、そして期待される未来
筒香嘉智外野手(32)の存在がDeNAのチーム成績に大きな影響を与えていることが、数字からも明らかだ。筒香がベンチ入りした試合では71試合で40勝31敗1分け(勝率.571)を記録しているのに対し、ベンチ入りしなかった試合では64試合で27勝35敗21分け(勝率.435)と、明確な差が見られる。
DeNAの三浦大輔監督(50)は、筒香の存在感について「存在自体が特別だと思います。打撃もそうですが、野球に対する取り組みもそう。雰囲気が引き締まる」と語っている。筒香は日米通算230本塁打、1115安打、710打点という圧巻の数字を残しており、米国での苦しい経験を経て、強いメンタルと真摯な取り組み姿勢を貫いている。これらの経験が若手中心のチームに好影響を与えていると、監督は考えている。
4月16日にDeNAと契約合意し、4月18日には横浜スタジアムで公開入団会見が行われた。背番号は「25」に決まり、5年ぶりに横浜へ戻ってきた筒香は、5月6日に1軍に昇格。3万3284人の観客が詰めかけたヤクルト戦で6番・左翼手として先発出場し、七回に二塁打、八回には逆転3ランを放つなど、衝撃の復帰戦を演じた。
筒香の加入後、チームは5月だけで4本塁打を放ち、全試合で勝利。5月6日から7月4日までのチーム成績は23勝19敗と、勢いに乗った。しかし、7月4日に左肋骨の疲労骨折で1軍登録を抹消され、チームは低迷期に突入。8月17日に復帰するまでの成績は12勝19敗1分けと、借金4で首位広島に8.5ゲーム差の4位に転落した。
筒香が1軍に復帰した8月17日以降の成績は17勝11敗1分けと、明らかに復調を果たしている。8月25日から9月5日には6連勝も記録した。ただし、脇腹の状態が万全でないこともあり、8月は8試合の出場で打率.200、0本塁打、2打点、9月は打率.100、1本塁打、2打点にとどまった。
巨人の球団幹部は「筒香を獲得できなくて良かったかもしれない」と語る。巨人はエリエ・ヘルナンデス外野手(29)を緊急補強し、8月に56試合で打率.294、8本塁打、30打点と好成績を残した。負傷離脱後もココ・モンテス外野手(27)がチームに貢献しており、筒香を獲得していなければいなかった助っ人だった。
筒香の存在価値は個人成績だけではない。9月20日の阪神戦では99日ぶりの2ランを放ち、チームを57日ぶりの3位浮上に導いた。また、8月17日の巨人戦では筒香が死球を受けた際、タイラー・オースティン内野手(33)が激高し、チームメートをサポートする姿勢が見られた。
DeNAは今季、楽天の佐竹学氏を1軍走塁アナリストとして迎え、盗塁数をリーグ2位(61)にまで引き上げるなど、改革に乗り出している。筒香の加入もその一環で、選手としての能力だけでなく、勝利を追求する姿勢がチームに好影響を与えている。来季は2月のキャンプから参加できるため、成績面での向上も期待できる。
筒香は今季52試合に出場し、打率.199、7本塁打、22打点、OPS(出塁率+長打率).722を記録。長打率.433はチーム4位の数字で、能力の片鱗は示している。米国での経験や骨折による離脱など、難しい面もあったが、32歳の筒香はまだ老け込む年齢ではない。来季以降、グラウンド上での存在感が確実に高まると期待される。
筒香の加入はDeNAにとって大きな価値を持ち得るもので、その一端が高勝率に表れている。ライバル球団が悔しがるだけの活躍を筒香に求められており、それが現実になった時、DeNAの悲願達成も現実味を帯びる。