フェリペ・マッサ、シンガポールGPの"クラッシュゲート"事件を振り返り、正義のための法廷闘争を続ける

フェリペ・マッサがF1シンガポールGPのパドックに姿を見せた。16年前のシンガポールGPで起きた「クラッシュゲート」事件を振り返るマッサ。この事件では、ルノーF1チームがドライバーのネルソン・ピケJr.に故意にクラッシュさせ、チームメイトのフェルナンド・アロンソが勝利するよう画策した。アロンソはトップチェッカーを受けたが、後にピケJr.のクラッシュが故意だったことが発覚し、ルノーF1の首脳陣がF1界から永久追放された。

この事件により、マッサ（当時フェラーリ）はセーフティカーラン中にピットインした際、給油ホースが外れていない状態で発進し、ホースを引きずってピットレーンを走行。大幅なタイムロスを被り、13位でフィニッシュした。このシーズン、マッサはルイス・ハミルトン（当時マクラーレン）との激しいタイトル争いを繰り広げ、最終的に1ポイント差でハミルトンに敗れた。

2023年のインタビューで、F1界のボスだったバーニー・エクレストンは、ルノーがピケJr.に故意にクラッシュさせたことを早期に知っていたことを示唆。調査が早ければシンガポールGPの結果は無効となり、マッサがチャンピオンになっていた可能性がある。

マッサはmotorsport.comのインタビューで、シンガポールが好きな場所だと語りつつ、当時の出来事を忘れられないとも述べた。また、友人に会うだけでなく仕事も兼ねて来ていると話し、シンガポールでの滞在を楽しんでいると語った。

マッサはエクレストンの発言を受け、FIAとFOM、エクレストンを相手取り、6400万ポンド（約124億4000万円）の賠償を求める裁判をロンドン高等裁判所に起こした。マッサは裁判の状況について次のように説明した。

「僕らは4～5ヶ月前から法廷に立っているけど、状況は好転している。間違いなく、正義のために戦っているんだ。だって不公平なことだからね。2008年に彼らがそれを知っていたのに何もしないと決めたということを、15年後に聞いた時には、僕にとってはあまりにも辛いことだった」

マッサは法律の専門家グループを結成し、正義のために戦っていると語った。彼は2008年のF1チャンピオンとして認められることを期待していると述べ、不公平なことが起きたことを正すために裁判に踏み切ったと語った。

「不公平なことが起きたということに対して戦っている。つまり僕が期待しているのは、認められることだ。僕はチャンピオンとして認められるべきなんだ。それは当然のことだと思う。僕に起きたことは不公平だった。しかもそれは、スポーツの一部じゃない……だからそれこそが、僕が戦っていることだし、間違いなく最後まで戦うよ」

マッサはエクレストンとも話し合い、エクレストンが法廷に持ち込んだのは正しいことだと支持していることを明かした。エクレストンがこの問題について口を開くのに時間がかかったことについても言及し、F1界の政治的な問題も多かったと語った。

クラッシュゲート事件とその隠蔽については、まだ全容が明らかになっていない部分もある。マッサはその可能性を認めつつも、自分に対して正しくないことが行われたことは間違いないとし、裁判に踏み切ったと語った。

「簡単ではなく、とても難しいことだ。僕にとっては、人生で一度も経験したことのないことの一部だ。決して良い話題ではないけどね。でもこうすることが正しいと、本当に信じているんだ」