大田泰示、ビシエド、中島宏之…現役続行を目指すベテラン強打者の去就は

10月5日に開催されたファーム日本選手権で、DeNAの大田泰示がサンマリン宮崎のスタンドから大きな拍手を送られた。今季限りで退団が決まっているが、ファームでの貢献が評価され、四番・左翼でスタメン出場。マルチ安打をマークし、ソフトバンクに6対2で快勝し、球団初のファーム日本一に貢献した。試合後、ナインから胴上げを促されたが、来季以降の現役続行を目指すため固辞した。

今年は3月のオープン戦で「左ハムストリングの肉離れ」で離脱。リハビリを経て一軍昇格を目指したが、ドラフト1位の度会隆輝、急成長した梶原昂希、筒香嘉智の復帰により、外野陣の層が厚くなり、チャンスが巡ってこなかった。一軍出場なしに終わり、イースタン・リーグに70試合出場で打率.264、1本塁打、15打点の成績を残した。

大田は巨人にドラフト1位で入団し、松井秀喜氏の背番号「55」を継承。将来を嘱望されたが伸び悩み、日本ハムにトレード移籍。2017年に外野の定位置をつかみ、19年に打率.289、20本塁打、77打点をマーク。20年には外野で自身初のゴールデン・グラブを受賞した。

21年オフに「ノンテンダー」で自由契約を通告されたが、セ・パの複数球団が獲得に乗り出し、DeNAに入団を決断。三浦監督や編成部長の熱心な説得と、神奈川での野球経験が合致し、入団を決めた。

巨人、日本ハム、DeNAで16年間プレーした大田は、34歳とベテランの域に入るが、同学年の浅村栄斗、則本昂大、西勇輝、伏見寅威らはチームの中心で活躍している。大田も4球団目となるチームでプレーし、もう一花咲かせたい。

また、中日はダヤン・ビシエドの退団が決まった。首位打者、最多安打を獲得するなどチームを長年支えてきたが、今季は自己最少の15試合出場にとどまり、打率.209、1本塁打、2打点。ウエスタン・リーグで打率.300、8本塁打、31打点と好成績を残したが、6月中旬以降に一軍から声が掛かることはなかった。10月6日の今季最終戦のセレモニーでサプライズ登場し、スタンドから大歓声が起こった。中日ファンから絶大な人気を誇ったビシエドは、他球団で現役続行の道を模索する。

42歳のベテラン・中島宏之も中日を1年で退団することが決まった。西武の主力として活躍し、09年に最多安打のタイトルを獲得。アメリカを経てオリックス、巨人を渡り歩き、中日に移籍した今年は「代打の切り札」として期待されたが、15試合出場で13打数無安打。1本の安打が早い時期に出れば、状況は変わったかもしれない。通算打率.292、209本塁打、995打点と実績は十分。1928安打を積み重ねて大記録達成がかかる中、来季も現役でプレーする意欲を示している。

実力主義の世界で、現役続行が叶えられる選手は一握りだ。険しい道のりになるが、新たなユニフォームでもう一度輝く姿を見たい。