『ビートルジュース ビートルジュース』3週連続1位、『トランスフォーマー/ONE』初登場2位に
北米映画興行ランキング:『ビートルジュース ビートルジュース』が3週連続1位を獲得
秋の北米映画商戦に大きな波紋を投げかけている。ティム・バートン監督の『ビートルジュース ビートルジュース』が週末興行収入ランキングで3週連続1位を獲得し、『トランスフォーマー』フランチャイズの最新作『トランスフォーマー/ONE』が初登場2位にとどまった。
『ビートルジュース ビートルジュース』は週末3日間で2600万ドル(前週比マイナス49.4%)を記録し、北米興収は2億2684万ドルとなった。サマーシーズンが終わり、再び話題作の数が減った9月、本作は北米全体興収の47%を占めるほどの大ヒットとなっていた。
当初、ワーナー・ブラザースは1988年の『ビートルジュース』から36年ぶりの続編にやや及び腰で、本作を自社映像配信サービス「Max」の独占配信作品にする計画もあった。しかし、バートン監督らがこれを拒否したため、劇場公開を実現する代わりに、製作費が1億ドル未満に抑えられた。結果的に世界累計興収は3億2984万ドルとなり、ビジネス的にも大成功を収めた。これは、同じく配信リリースが検討された『エイリアン:ロムルス』に続き、劇場公開には夢があることを証明するエピソードとなった。
一方、苦汁をなめたのが、第2位に初登場した『トランスフォーマー/ONE』だった。マイケル・ベイ監督による実写映画版シリーズを経ての本作は、フランチャイズとしては1986年の『トランスフォーマー ザ・ムービー』以来のアニメーション映画。もともとの『トランスフォーマー』の人気を受け、週末興収は3000~4000万ドル程度と見込まれていたが、実際には3日間で2500万ドルという成績にとどまった。
本作はオプティマスプライムとメガトロンの友情と対立を描く、いわばフランチャイズの根源をなすオリジン・ストーリー。声優陣にはクリス・ヘムズワース、ブライアン・タイリー・ヘンリー、スカーレット・ヨハンソン、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・フィッシュバーン、ジョン・ハムら豪華スターが揃い、監督は『トイ・ストーリー4』(2019年)のジョシュ・クーリーが務めた。
ひとつのフランチャイズで実写とアニメーションを両立する戦略は、ソニー・ピクチャーズの『スパイダーマン』『スパイダーマン:スパイダーバース』に近い。しかし、『トランスフォーマー/ONE』は、Rotten Tomatoesで批評家スコア89%、観客スコア98%、劇場の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」という高評価を受けながら、パラマウント・ピクチャーズが期待したほどの数字を叩き出すことはできなかった。
しかしながら、製作費は7500万ドルなので興行的なダメージは小さい(オモチャの収益でコストを回収する道もある)。また、『トランスフォーマー』シリーズであることを横に置けば、9月公開のアニメーション映画として「失敗」と呼ぶべき興行収入でもない。問題は実写映画版ファンの心をつかめず、新規ファンをうまく開拓することもできなかったプロモーションと、もしくはフランチャイズ展開の手順にあったのだろう。
幸いにも作品としての評価は高いため、近年公開されたいくつかのアニメーション映画と同じく、長期的なスパンで観客を呼び込んで大ヒットとなる可能性もある。ライバルは、9月27日に北米公開されるドリームワークス作品『野生の島のロズ』だが、こちらも興行的なポテンシャルは未知数だ。
その他の注目作品としては、ハル・ベリー主演のサバイバル・スリラー『Never Let Go(原題)』が第4位に初登場。デミ・ムーアとマーガレット・クアリー主演、第49回トロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門で観客賞に輝いた『The Substance(原題)』も第6位に登場した。後者は、若さに執着する元スター女優を描いたホラー映画として賞レースの有力株とされ、日本でも2025年5月の劇場公開が決定している。
また、ジェームズ・マカヴォイ主演の『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』は公開2週目で第3位をキープ。週末興収は590万ドル(前週比マイナス48.2%)で、作品の高評価も手伝って前週比マイナス48.2%という結果となった(ホラージャンルとしては優れた数字だ)。世界興収は4238万ドル、製作費は1500万ドルなので、こちらも興行的には成功といえる。
北米市場全体の年間興収は、前年の同時期と比べて88.1%。10月は『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』なども控えるが、ここからどのように展開してゆくか注目される。
北米映画興行ランキング(9月20日~9月22日)
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『ビートルジュース ビートルジュース』(前週1位)
- 2600万ドル(-49.4%)/4172館(-403館)/累計2億2684万ドル/3週/ワーナー
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『トランスフォーマー/ONE』(初登場)
- 2500万ドル/3978館/累計2500万ドル/1週/パラマウント
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『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』(前週2位)
- 590万ドル(-48.2%)/3375館(変動なし)/累計2145万ドル/2週/ユニバーサル
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『Never Let Go(原題)』(初登場)
- 450万ドル/2667館/累計450万ドル/1週/ライオンズゲート
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『デッドプール&ウルヴァリン』(前週3位)
- 390万ドル(-25.4%)/2450館(-625館)/累計6億2728万ドル/9週/ディズニー
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『The Substance(原題)』(初登場)
- 310万ドル/1949館/累計310万ドル/1週/MUBI
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『Am I Racist?(原題)』(前週4位)
- 253万ドル(-44.2%)/1600館(+83館)/累計900万ドル/2週/SDG Releasing
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『Reagan(原題)』(前週5位)
- 166万ドル(-42.5%)/1850館(-600館)/累計2652万ドル/4週/Showbiz Direct
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『JUNG KOOK: I AM STILL』(初登場)
- 142万ドル/769館/累計257万ドル/1週/Trafalgar Releasing
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『エイリアン:ロムルス』(前週7位)
- 132万ドル(-44.5%)/1350館(-600館)/累計1億362万ドル/6週/20世紀スタジオ