「HUNDRED LINE -最終防衛学園-」: ダンガンロンパクリエイターが挑む新タワーディフェンス

「HUNDRED LINE -最終防衛学園-」: ダンガンロンパクリエイターが挑む新タワーディフェンス

東京ゲームショウ2024で「HUNDRED LINE -最終防衛学園-」のメディアセッション開催

トゥーキョーゲームスとアニプレックスは、イベント「東京ゲームショウ2024」において、2025年4月24日に発売予定のNintendo Switch/PC用アドベンチャーゲーム「HUNDRED LINE -最終防衛学園-」のメディアセッションを開催しました。本作はトゥーキョーゲームスが企画し、アニプレックスが販売を手がける新作タイトルで、セッションではトゥーキョーゲームスの小高和剛氏とアニプレックスの稲生舜太郎氏が登場し、主にバトルシステムとキャラクターについて詳細を語りました。

ゲームの概要

「HUNDRED LINE -最終防衛学園-」は、3Dの背景に2Dのキャラクターが会話を繰り広げるストーリーパートと、横スクロールで展開される校舎内の探索パート、そして見下ろし型のタワーディフェンスゲームとなるバトルパートを特徴としています。これまで詳細なゲームプレイについては明かされていませんでしたが、今回のセッションで多くの要素が明らかになりました。

主人公と設定

主人公の「澄野拓海」は、平凡な家庭で育った普通の高校生です。彼が住んでいる「東京団地」は大きなドームで覆われており、住人たちは何世代もそこで暮らしているため、空を見たことがありません。しかし、東京団地が突如何者かに襲われる事件が発生します。拓海は幼馴染の「カルア」を助けるために、目の前に現れた謎の生物「SIREI」の提案を飲み、短刀「我駆力刀(がくりょくとう)」を胸に突き刺します。これにより、拓海は異能の力「我駆力(がくりょく)」を手に入れ、目の前の敵をせん滅します。その後、謎の光に包まれた拓海は「最終防衛学園」へと強制的に転校させられます。

主人公を含む強制転校させられた人々は全員、東京団地の中でSIREIたちにより「我駆力」を与えられていました。彼らは「特別防衛隊」となり、100日間学園を守り抜き、人類を救うことを課せられます。彼らは体に爆弾を仕掛けられており、戦わざるを得ない状況に追い込まれていきます。

キャラクター紹介

主人公の拓海とともに戦う14人の特別防衛隊のうち、3人のキャラクターが紹介されました。

  1. 飴宮怠美(あめみやだるみ):デスゲームが大好きで殺し合いがしたいメンヘラ地雷系女子。遠距離攻撃が得意。
  2. 厄師寺猛丸(やくしじたけまる):女子供老人動物に優しいヤンキー。クラスウェポンがバイクで行動範囲が広く、敵に特攻を仕掛け、敵のヘイトを自分に集める。
  3. 雫原比留子(しずはらひるこ):戦闘経験ありの攻撃力最強のドS女性。大きな斧を使い、一撃の攻撃力が高い。

これらのキャラクターは非常に個性豊かで、その性格がバトルにおける性能にも表れています。主人公の拓海は攻撃力と攻撃範囲のバランスがよく、使い勝手のいいキャラクターとなっています。

バトルシステム

主人公たちが強制的に転校させられる「最終防衛学園」には、敵となる「侵校生」が襲いきます。この際、拓海たちは学園に迫りくる侵校生から学園を防衛します。バトルシステムはタワーディフェンスゲームの要素を取り入れており、侵校生から防衛タワーを守り切ることが勝利条件となります。

バトルはターン制で、マスに区切られたフィールドを移動しながら攻防を繰り広げ、防衛タワーを守ります。侵校生は1つの方角から攻めてくることもあれば、360度から攻撃を仕掛けてくることもあります。特防隊のキャラクターと侵校生それぞれに移動可能な範囲が決まっており、マスによって色分けがされています。黄色いマスがキャラクターが攻撃できるマス、緑色が移動可能なマス、赤色が攻撃対象となっています。

特防隊には1ターンに行動できる回数(AP)が設けられており、APを消費するとターン終了となります。APは次のターンに持ち越すことも可能で、ネームドキャラクターと呼ばれる侵校生を倒すことでAPを増やすこともできます。

キャラクターごとに攻撃可能範囲が異なり、拓海は5マス横並びの侵校生に一斉に攻撃できる一方、雫原は攻撃力が高い一撃を1マスの侵校生に攻撃することができます。敵の動きに合わせてどのキャラクターで攻撃するかが重要となります。

侵校生を倒していくと、ボルテージというゲージが貯まっていきます。このボルテージは特防隊の必殺技「必殺我駆力(ひっさつがくりょく)」に使用したり、そのバトル限定のバフをかけることも可能です。

バトルの最終フェーズではボスが登場します。このボスはなぜか人型で謎の言語を話し、我駆力のような能力も使い、変身して戦います。ストーリーに大きく関わってくる可能性があります。

特殊システム

本作では、命を投げ出しながら戦うシステムが採用されています。具体的には、バトル中に瀕死になると「決死」という攻撃が可能になります。決死を使うとそのキャラクターは死んでしまう代わりに、多大なダメージを侵校生やボスに与えることができます。操作キャラクターが減るためデメリットが大きいように思えますが、特防隊が死ぬとボルテージが上がるなど、プレーヤーにとって得になることがあります。無駄にHPを削られて死んでしまうよりも、一撃を与えて侵校生を倒して死ぬ方がより良いという考えがあります。なお、死んでしまったキャラクターは生き返らせる方法もあるため、パーマネントデスにはならないため、バトルの攻略においては率先して活用できそうです。

プレイヤーのスタイルに合わせた遊び方

本作はストーリー重視したいというプレーヤーにも楽しんでもらえるよう、キャラクターたちを成長させなくてもクリアできるようになっています。一方、長く楽しめるようにやりこみ要素として、キャラクター同士の親密度を上げる、防衛訓練をして戦闘能力を上げるなどの成長要素が用意されています。さらに、バトル後に入手できるポイントでギャラリーの開放や成長要素を手に入れられるなど、様々な要素が用意されています。プレーヤーの様々な遊び方に対応した作りとなっています。

また、本作ではマルチエンディングが採用されており、プレーヤーの選択によって様々なエンディングを迎えることができます。それだけではなく、プレーヤーの選択はキャラクターたちの生死にも影響を及ぼします。小高氏は「ダンガンロンパ」シリーズの際にあった「通るルートによって死ぬキャラクターが違ったらいい」といった意見や、「死ぬ順番が変わったらいい」といった意見から、今までのストーリー構成ではできなかった部分に挑戦していると述べています。

ストーリー上ではトラブルやドラマチックな出来事が発生し、ミステリーやサスペンス要素もあり、止め時が分からないような構成に仕上げています。加えて、アニメーションにも力を入れており、クオリティアップのためにブラッシュアップを重ねています。

セッションの締めくくり

セッションの最後には、小高氏と稲生氏の意気込みが語られました。小高氏は「僕らも初めての自社IP作ということで本当に気合いを入れて作りました。気合が入りすぎて結構大変なゲームになっています。プレイしてみると本当によくそんなものを作ったなというような部分が出てくると思います」とコメント。さらに、「また、昨今のゲームでコンプライアンス的に厳しいところがありますが、ゲームの攻めた表現などたくさん刺激的な部分があります。本当に刺激的な体験になるのではないかなとは思ってます。自分的には手応えのある出来になっていて、非常に満足しています。ですので、プレイしてくれた人たちを本当にぶん殴るような、そういう気合が入った作品になってると思います」と宣言しました。

また、稲生氏はこれまで「ダンガンロンパ」シリーズをパブリッシュしていたスパイク・チュンソフトではなく、アニプレックスからリリースすることに対して、「どうしてそうなったんだろうかとか、大丈夫なんだろうかみたいな気持ちも当然あるとは思います。ですが、今小高さんおっしゃったような、気合いが入っているとか、集大成で全てをかけてといったことは間近で感じていました。ここまで絞り上げるようにして作っていってるっていうのは、本当に私も身をもって実感している部分です。この点はプレイしていただけると、本当に伝わっていくだろうなと思ってます」と言及。続けて、「我々としてはそのクリエイティブをいかにそのまま純度の高い状態でゲームに入れていけるかという部分で、コンプライアンスに関して言えば、会社からは『大丈夫なの?』という言葉にも、これで行かせてほしいと言ったことも含めて、とにかく尖っている物を届けたいです。要はアニプレックスになって悪くなったねと、そうは思われるようなことがないように、エッジの効いたすごい素晴らしい作品になってきてると思います。そこは本当に皆さん期待を持っていただければと思います。まだリリースまで少し時間がありますので、最後までぎりぎりまで開発チーム一丸となってブラッシュアップしている最中ではございますので、引き続き皆さんにもお待ちしていただければなと思っております」と語り、セッションは閉められました。

まとめ

「ダンガンロンパ」を手がけてきたクリエイター陣が初めてアニプレックスとタッグを組むだけでなく、ジャンルとしてもタワーディフェンスという新たな領域で挑戦をする本作。尖った要素なども明らかになり、他の同ジャンルの作品とは一味違った仕上がりになりそうな印象を受けるセッションとなりました。