ドジャースの先発投手陣の課題とポストシーズンへの道

ドジャースの先発投手陣に暗雲、ポストシーズンでの采配に注目

ドジャースは、リーグ屈指の強力打線を誇るチームとして知られているが、今季の先発投手陣には大きな課題が山積している。12人の先発投手が負傷者リスト入りするという厳しい状況に直面している。しかし、デーブ・ロバーツ監督は「誰を起用しても自信がある」と前向きな姿勢を示しており、ポストシーズンでの采配に注目が集まっている。

9カ月前の予想外の展開

9カ月前、ドジャースは昨年12月に山本由伸とタイラー・グラスノーという一線級の投手を獲得し、ポストシーズンの2大エースとして起用する予定だった。しかし、グラスノーは右肘の故障で今季絶望となり、山本も肩の違和感で約3カ月間離脱。今月復帰して2試合で4イニングを投げただけという状況に陥っている。

グラスノー獲得の賭け

グラスノーの獲得は、アンドリュー・フリードマン編成本部長の言葉通り「賭け」だった。グラスノーはキャリアを通じてケガが多く、最多でもシーズン21試合に先発、120イニングしか投げていない。それでも本部長は「グラスノーは今後数年間、先発投手として多くの登板を果たしてくれる。時間をかけて慎重に検討した結果、これは賭けです」と語り、5年総額1億3650万ドルの契約を結んだ。

シーズン中の慎重な起用

シーズン中もグラスノーは慎重に起用され、中4日の先発は一度だけで、中5日が14試合、中6日以上は7試合。結果、22試合で9勝6敗、防御率3.49、134イニング、168奪三振とキャリア最高の成績を残した。しかし、肝心の10月に投げられないという事態に陥り、賭けは失敗に終わった。

10月の先発ローテーションの不安

10月の先発ローテーションは、トレードデッドラインで獲得したジャック・フラハティ、山本、そしてウォーカー・ビューラーが三番手になる予定だ。しかし、ビューラーの今季の成績は1勝5敗、防御率5.54と不安定。四番手はおそらく新人のランドン・ナックで、2勝4敗という成績だ。

育成システムの課題

ドジャースの育成システムは、球速や鋭い変化球を持つ若手投手を次々と育てているが、彼らがすぐにケガをしてしまうという問題がある。今季2ケタ勝利の新人ギャビン・ストーンは肩の炎症、4試合で防御率1.33のリバー・ライアンは肘の故障で離脱している。

今季の負傷者リスト入り

ドジャースは今季12人の異なる先発投手を負傷者リストに入れねばならなかった。これは今年だけの話ではなく、22年に16勝1敗、オールスターに出場したトニー・ゴンソリンは23年にトミー・ジョン手術を受けた。ドジャースは22年、23年に地区シリーズで敗退したが、それはケガの影響で重要な10月に先発投手が不足したためだ。

投手育成の見直し

フリードマン編成本部長は、オフになったら投手の育成についてプロトコルを見直すつもりだと明かした。素晴らしい球を投げる投手は、体にかかる負担も大きい。そのため、ケガを予防するための新たな方法を模索している。

ロバーツ監督の前向きな姿勢

厳しい状況にあるドジャースだが、ロバーツ監督は「チャンピオンシップに勝つ方法は一つではない。今いる選手たちで戦っていくし、誰を起用しても自信がある」と前向きな姿勢を示している。先発陣のローテーションが盤石でなくても世界一になったチームはかつて存在する。昨年のレンジャーズがその一例であり、21年のブレーブスも第4戦と第5戦ではブルペン陣に頼る戦略を取った。

強力な打線の力

ドジャースの打線は、大谷翔平を擁し、1試合で少なくとも5点を取る実力がある。そのリードを投手陣がしっかり守り切れば、勝機が見えてくる。とはいえ、ブルペンも防御率0.95のマイケル・コペック以外は今一つ。古くからの格言「チャンピオンシップを勝ち取るのはピッチング」は現在も真実であり、このままだと3年連続で地区シリーズに敗退する危険が高まっている。