ルガルと西村淳がスプリンターズSでG1初制覇、感動の瞬間と新たな星の誕生
中山11R・スプリンターズS:ルガルがG1初制覇
29日、中山競馬場で開催された秋のG1シリーズ開幕戦「第58回スプリンターズS」で、9番人気のルガルが見事にG1初制覇を果たしました。春の高松宮記念で1番人気ながら10着に敗れた雪辱を果たし、鞍上の西村淳也(25)もデビュー7年目、24度目の挑戦でG1初制覇を達成しました。2着には5番人気のトウシンマカオ、3着には4番人気のナムラクレアが入り、3連単は29万円超と波乱の決着となりました。
感動の瞬間
ルガルが先頭でゴールを駆け抜けると、鞍上の西村淳は感情が高ぶり、ステッキを持ち替えた手で涙を拭いました。相棒の首筋に顔を埋めて、喜びをかみしめた様子が印象的でした。「ゴールの直後は感情が出た。込み上げてくるものがあった。レースのことは何も覚えていない」と、西村は勝利の瞬間を振り返りました。
大接戦のレース展開
1~4着が首差で並ぶ大接戦となりました。ルガルは好位3番手から直線坂上で先頭に躍り出ると、外からトウシンマカオの猛追を振り切り、見事に勝利を収めました。春の高松宮記念ではG1初挑戦ながら1番人気に支持され、結果は10着惨敗。レース後には左前脚の骨折が判明し、半年近い休養を経ての復帰初戦で、人馬共に見事なリベンジを果たしました。
西村淳也のG1初制覇
デビュー7年目の西村淳にとって、この勝利はうれしいG1初制覇となりました。母子家庭に育った西村は、どんな時も背中を押してくれた母への感謝を口にしました。「大変なことがいっぱいあったと思う。そんな中でも小学5年生から乗馬を習わせてくれた」。しかし、母はこれまで一度も競馬場に来たことがなく、西村も「生では見てほしくない(笑い)」と照れた表情を浮かべました。それでも「勝った時には“かっこよかったよー”と連絡をくれる。今日は泣いているでしょうね」と、最愛の母を思いやりました。
兄の影響と努力
先にジョッキーを目指したのは兄の勇哉さん。夢はかなわず現在は浜田厩舎で調教助手を務めています。「兄がジョッキーになれなかった分も、努力を重ねることができた」。18年に念願の騎手デビューを果たすと、着実にステップアップ。昨年はキャリアハイとなる76勝をマークしました。24度目の挑戦で晴れてG1ジョッキーの仲間入りを果たし、「これからも全力で、ひとつでも多く乗って勝ち星を取れるジョッキーになりたい」と、貪欲な姿勢を示しました。
ルガルの成長と今後の展望
ルガルにとっても骨折を乗り越え、並み居る強敵を退け手にした価値あるタイトルとなりました。杉山晴師は「春先のシルクロードSから馬体が成長期に入ってピークを迎えつつある」と目を細めました。今後については「海外も含めて馬の状態を見てオーナーさんと相談して時間をかけて判断していきたい」と力を込めて語りました。
混迷のスプリント路線に新星
混迷が続くスプリント路線に出現した4歳の新星、ルガルと西村淳。「(お立ち台は)凄く気持ちいい。またG1を勝って、この台に立ちたい」。鞍上は晴れ晴れとした表情で誓いました。
ルガルのプロフィール
- 父:ドゥラメンテ
- 母:アタブ(母の父:ニューアプローチ)
- 生年月日:20年3月7日
- 性別:牡4歳
- 所属:栗東・杉山晴厩舎
- 馬主:江馬由将氏
- 生産者:北海道浦河町の三嶋牧場
- 戦績:13戦4勝(重賞2勝目)
- 総獲得賞金:2億9486万円
- 馬名の由来:王(シュメール語)
西村淳也のプロフィール
- 生年月日:1999年(平11)7月30日
- 出身地:兵庫県尼崎市
- 年齢:25歳
- 所属:栗東・田所秀厩舎
- デビュー:18年3月
- 初勝利:18年3月31日、阪神6R(ティーブラッサム)
- 重賞初制覇:21年金鯱賞(ギベオン)
- 兄:勇哉氏(栗東・浜田厩舎の調教助手)
- JRA通算成績:4512戦385勝(うち重賞9勝)
- 身長:1メートル60
- 体重:46キロ
この勝利は、ルガルと西村淳の努力と挑戦の結晶であり、今後の活躍に大きな期待が寄せられています。