ルガル、スプリンターズS制覇でスプリンター転身、三嶋牧場の慧眼が実を結ぶ
スプリンターズSを制したルガル
29日、中山競馬場で行われたG1スプリンターズS(芝1200メートル、3歳上、出走16頭)で、ルガル(牡4、杉山晴)が見事に優勝を果たした。この勝利は、ルガルの驚くべき転身を象徴するものとなった。
ルガルの転身
ルガルは、2022年11月に阪神ダート1800メートルの新馬戦でデビューし、9頭立ての9着に終わった。当初はクラシックディスタンスを意識した配合で、ダートの長い距離からデビューしたが、まさかスプリンターとしての才能が開花するとは誰も予想していなかった。北海道浦河町の三嶋牧場の三嶋健一郎取締役は、「当歳時は立派で見栄えのする馬でした。クラシックディスタンスを意識した配合で、ダートの長いところからのデビューでしたが、まさかスプリンターになるとは…」と、驚きを隠せなかった。
三嶋牧場のG1勝利
三嶋牧場は、今年の天皇賞・春(テーオーロイヤル)に続くG1勝利を挙げ、21年の安田記念(ダノンキングリー)、23年の高松宮記念(ファストフォース)と合わせて4勝目を達成した。「春、秋と今年は出来過ぎですね」と、三嶋取締役は笑顔で語った。ルガルの下の当歳馬は、父コントレイルの牡馬で、母アタブは現在、イクイノックスの子を受胎しているという。
名牝の血統
ルガルの爆発的なスピードとパワーは、その血統に由来する。4代母は、現役時代にG1を10勝し、母としては種牡馬として成功したキングマンボ、仏2冠牝馬イーストオブザムーン(ルガルの3代母)などを出した名牝ミエスク。この牝系は世界中に広がっており、日本ではリアルスティール、ラヴズオンリーユーなど多くの名馬を輩出している。また、イーストオブザムーンからはアイルランドの名牝アルファセントーリが出ている。
母アタブの経緯
母アタブは2018年にアイルランドのゴフス社ノベンバーブリーディングストックセールで、わずか3万5000ユーロ(現在のレートで約560万円)で落札された。当時、アタブはムカドラムの子を受胎しており、2019年に三嶋牧場で誕生したのがトウシンイマジ。2020年にはルガルが誕生し、この牝系の可能性にかけた生産者の慧眼が新たなスプリント王者を誕生させた。
爆発的なパフォーマンス
スプリンターズSでは、ルガルは超ハイペースの3番手から押し切り、その爆発的なスピードとパワーを存分に発揮した。この勝利は、ルガルのスプリンターとしての才能を確実なものとし、今後の活躍に大きな期待が寄せられている。
三嶋牧場の努力と慧眼が結実し、ルガルは新たなスプリント王者としての地位を確立した。今後も、その活躍に注目が集まることだろう。