ルガルと西村淳也騎手、スプリンターズSでG1初制覇!母への感謝と未来への決意
ルガルでスプリンターズSを制し、西村淳也騎手がG1初制覇
29日、中山競馬場で行われたスプリンターズS(G1、芝1200メートル、3歳上、出走16頭)で、9番人気のルガル(牡4、杉山晴紀厩舎)が見事に勝利を収めました。鞍上の西村淳也騎手(25)は、24度目の挑戦で念願のG1初制覇を果たし、ファンの声援にガッツポーズで応えました。
感動の瞬間
レースはハイペースで進み、ルガルは3番手につけ、最後の直線でトウシンマカオの追い上げを首差でしのぎ、勝ち時計1分7秒0で優勝しました。杉山晴紀調教師(42)は、当レース初出走で初勝利を挙げ、鞍上と同じくG1初制覇を達成しました。今後、ルガルは香港スプリント(G1、芝1200メートル、12月8日、シャティン)なども選択肢に入ります。
西村淳也騎手の涙
勝利の瞬間、西村淳也騎手は人目をはばからず泣き崩れました。ゴールの瞬間、下を向き、左手で目元を覆い、引き上げる間も、帰った後も涙が止まらなかったそうです。検量室前では杉山晴紀調教師の胸に包まれ、感極まった様子で「自分は幸せです。騎手をしていてよかったです」と語りました。レース内容を問われても「なんも覚えてないです」と連呼し、無心で夢のひとときを駆け抜けたことを明かしました。
母への感謝
西村騎手の涙もろさは、血筋かもしれません。感謝を伝えたい人を問われた際、「母親です」と即答しました。女手一つで育てられ、乗馬を始めたいと言った小学5年の時も「後ろから応援してくれました」と振り返ります。中学1年頃からは「帰りが遅くてご飯を食べる時間もなかった」と、母親に苦労をかけたことを語りました。レースを生観戦してもらったことは「何があるか分からないので」と、この日を含めて1度もないそうです。「連絡は勝った時のおめでとう、かっこよかったよ、くらい。おそらく今日は泣いているでしょうね」と、照れ笑いながら語りました。
勝利への道
レースでは、ゲート内でばたつき「やべぇなぁ」と思ったものの、五分の発馬を決めました。逃げたピューロマジックが作った前半3ハロン32秒0の激流を、やや離れた3番手につけました。「馬のペースだけを守ったらあの位置に。何の不安もなかったです」と、信じた西村騎手。前が止まらない馬場も味方に、残り100メートルで逃げ馬をパス。懸命の左ステッキで最後まで粘り切りました。
未来への決意
涙をぬぐって、次を見据える西村騎手。高松宮記念ではレース中に骨折の不運に見舞われ、1番人気で10着に敗れたものの、悔しさを晴らしました。騎手を目指したのは、現在浜田厩舎に務める兄勇哉助手の影響。「兄が騎手になれず、もっともっと努力しないといけないと思いました。1鞍1鞍全力で勝ちに行きたいですし、1つでも多く勝っていけるジョッキーになりたいです」と、立派な姿を母に届けたことを喜びつつ、さらなる成長を誓いました。
ルガルのプロフィール
- 父: ドゥラメンテ
- 母: アタブ(ニューアプローチ)
- 性別: 牡4
- 馬主: 江馬由将
- 調教師: 杉山晴紀(栗東)
- 生産者: 三嶋牧場(北海道浦河町)
- 戦績: 13戦4勝
- 総獲得賞金: 2億9486万円
- 主な勝ち鞍: 24年シルクロードS(G3)
- 馬名の由来: 王(シュメール語)
杉山晴厩舎と西村淳也騎手のコンビ
杉山晴厩舎と西村淳也騎手のコンビは、22年中京記念(ベレヌス)、23年ラジオNIKKEI賞(エルトンバローズ)、毎日王冠(エルトンバローズ)、24年シルクロードS(ルガル)に次ぐ重賞5勝目を挙げました。今後も、このコンビの活躍が期待されます。