久保建英、レアル・ソシエダを救う活躍でバレンシアに勝利!

久保建英、レアル・ソシエダを救う活躍でバレンシアに勝利!

久保建英の活躍がチームを救う、レアル・ソシエダがバレンシアに3-0で勝利

レアル・ソシエダは、ラ・リーガ第8節でバレンシアに3-0と快勝した。この試合で先発した久保建英は、先制点となる今季2ゴール目を決め、チームの勝利に大きく貢献した。久保の活躍は、チームの不振を打破する重要な一打となった。

恵みの雨

レアル・ソシエダの本拠地アノエタで最後に勝利を味わったのは、5月16日のバレンシア戦だった。それから長い間、勝利から遠ざかっていたチームは、夏が過ぎて秋を迎え、ようやく恵みの雨が降ったかのように勝利を手にした。勝利の相手は再びバレンシア。そして、勝利への道を切り開いたのは、第2節エスパニョール戦でも勝利に導いた久保建英だった。

久保建英の覚悟

久保建英は、ラ・レアルで3シーズン目を過ごしている。これまでの2シーズンは成功と評価できる内容と結果を収めてきたが、今季は初っ端から試練に直面している。ロビン・ル・ノルマンがアトレティコ・デ・マドリー、ミケル・メリーノがアーセナルに移籍し、負傷者も続出……。再構築を余儀なくされたチームは結果が出ず、失望やフラストレーションが溜まる状況だった。

しかし、久保は逃げなかった。良い時期に良い顔をするのは簡単だが、本当に偉大なフットボーラーであるかどうかは、難しい時期にこそ分かる。久保はまぎれもなく後者だった。彼の意思の強さは、思っていた以上だった。

スコアレスドローで終わった前節バジャドリー戦の後、久保は誰も応じることを望まなかったテレビのインタビューで、感情を込めながら次のように話した。

「本当、うんざりしてます。審判が終了のホイッスルを吹いたとき、僕は動くことができませんでした。今日は絶対に勝たないといけなかったので……みんなうんざりしています」

「でも、流れは変わります。変わりますよ。次の試合で絶対に変わるとは言えませんが、そうなることを願っています。僕はこのチームが上向いていくことを確信していますし、自分が荷車を引いていきたいと思います」

「荷車を引く(tirar del carro)」は「大部分の責任や重荷を引き受ける」、すなわち「チームを引っ張る」という意味だ。久保は窮地のチームを率先して救う気概を示した。

かけがえのない存在

バレンシア戦のキックオフから8分後、久保の活躍が現れた。左サイド、バレネチェアのスルーパスを受けたセルヒオ・ゴメスがグラウンダーのクロスを送ると、フリーでエリア内右に入り込んだ久保が左足のダイレクトシュートでネットを揺らした。久保はその後も右サイドで、アランブルと抜群の連係を見せながら存在感を発揮し、バレネチェアの決定機を引き出すなどした。ソシエダは後半、80分と90分に途中出場のオスカールソンが追加点を決め、久保が切り開いた勝利への道を踏破。今季公式戦では9試合で2勝目、アノエタでは4カ月ぶりの白星を手にした。

久保はファンが選ぶこの試合のMVPに選ばれたが、試合後の発言がまた素晴らしかった。「MVPに値したのはおそらくセルヒオ(ゴメス)だったと思います。何度もアシストしていましたし」と、3ゴールすべてに絡んだチームメートを称賛。こうしたエゴのない冷静なコメントもするからこそ、ほかの言葉の本気度もうかがえる。

久保建英の去就

久保は今夏、リヴァプールに移籍する噂があった。日本のファンがどれだけ大きな期待を抱いたのかは知っている。とはいえ、ラ・レアルを愛する者たちにとっても、久保はかけがえのない存在だ。同胞ではないとしても、2シーズンを一緒に過ごして、何も感じない方がおかしい。

もちろん、分かっている。今夏のル・ノルマンやミケル・メリーノのように、いつか久保も旅立つときがやってくることくらいは。しかし、この日本人は「泥舟」とも揶揄されたラ・レアルのために、懸命に尽くしてくれている。私たちは久保のことを傭兵だと思ってはいないし、久保にもそんな意識はなかった。そのことが何よりもうれしい。

未来への希望

ラ・レアルのパフォーマンスは、明らかに上向き始めている。セルヒオ・ゴメスやスチッチの適応ぶりは目を見張るものがあり、オスカールソンもチームに圧倒的に足りなかった得点力を示した。主力の退団などでここまでは絶望しか感じられなかったチームが、ようやく希望のシグナルを送り始めた。

次戦はヨーロッパリーグ、アノエタでのアンデルレヒト戦。ベルギーの歴史的クラブとの対決だが、私たちは悲観的に試合を迎えることはない。「最高のラ・レアルはもうすぐ戻ってくるはずです」と久保が言った通り、今は何よりも期待感が勝っている。

そして少なくとも、このラ・レアルには「荷車を引く」を意思を持つ選手が、「俺がここにいるぞ!」と叫んだ人間がいる。

タケ、本当にありがとう。