拓大紅陵、投手陣の安定と打線の好調で2年ぶりベスト4進出
拓大紅陵、2年ぶりのベスト4進出
令和6年度第77回秋季千葉県高等学校野球大会の準々決勝で、拓大紅陵が3対2で日体大柏を破り、2年ぶりのベスト4進出を果たした。この4年間で3度のベスト4入りを果たしており、県内では突出した安定感を誇る。
投手陣の安定
試合の主導権を握ったのは投手陣の安定した投球だった。先発マウンドに登ったのは、3回戦で登板がなかった右腕の堀込龍投手(2年)。堀込は5回途中まで無失点の好投を続け、常時130キロ~135キロの速球とスライダーをテンポよく投げ込み、試合をコントロールした。大崩れすることなく、試合を作り上げる頼もしい存在だ。
宮澤和聖投手の活躍
5回、ピンチを招いたことで堀込は降板し、1年生左腕の宮澤和聖投手がマウンドに上がった。宮澤は静岡裾野リトルシニア出身の本格派右腕で、浦和学院の伊藤漣投手(1年)とともに2枚看板を組み、ジャイアンツカップ準優勝の経験を持つ。野球センスが高く、横回転の動きからスリークォーター気味のフォームで投げ、腕の振りと体の回転が一致しているため、体への負担も少ない。
宮澤のストレートは常時120キロ後半~134キロと技巧派の投球スタイルだが、回転数は高く、腕の振りもしなやか。フィジカル強化がうまくいけば、速球投手へと成長する可能性がある。スライダーとチェンジアップの精度も高く、リードする加藤玄竜捕手(2年)は「度胸も強く、コントロールもよくて頼もしい」と信頼を寄せる。
宮澤の打撃力
5回裏には、宮澤は自慢の俊足を活かし、内野安打を放ち、さらに盗塁を決めた。3回戦の習志野戦でも適時打を打っており、打撃力も高い。野球センスの高さは一級品で、将来は日本ハムの中継ぎとして活躍する堀瑞輝投手(広島新庄)のような速球投手として育つ可能性がある。
中村怜人投手の活躍
試合は3対0のままリードを広げたが、8回表に不用意にストライクを集めてしまい、一死満塁のピンチを招いた。このピンチでマウンドに上がったのは、背番号1の中村怜人投手(2年)。中村は右スリークォーターから常時130キロ中盤の速球とスライダーを投げ分ける投手だ。先頭打者にライトへ大きな当たりを打たれたが、ライトの平山颯大外野手(2年)が背走しながらキャッチ。犠飛となったが、抜けていれば同点になっていた当たりで非常に大きなプレーだった。
守備の強化
主将の加藤は「中村、宮澤、堀込と3投手がいいので、どうやって守りで盛り立てることができるかを考えて、夏休みでは守備をしっかりとやってきました」と語る。平山は「フライは苦手でしたが、しっかりと練習をして捕球できるようになりました」と胸を張る。終盤では2併殺に打ち取るなど、内野守備も非常に堅い。
打線の好調
打線は3得点に終わったが、習志野戦では5回コールド勝ちを収めるなど、非常に打線の状態も良い。各打者のスイングに癖がなく、しっかりとコンタクトできる打者が多い。3番を打つ平山は「低く強いライナー性の打球を打つ。これを大会でもしっかりと実践できている」と語る。
総合的な強さ
シートノックを見てもスローイングが強く、外野手は控え選手も肩が強く、走攻守すべてにおいて鍛えられている。関東大会まであと1勝。緻密な野球で3年ぶりの出場を決めることが注目される。
拓大紅陵は、投手陣の安定、守備の強化、打線の好調を武器に、今大会でのさらなる活躍が期待される。