七代目三遊亭円楽襲名と円生、円喬名跡復活へ:落語界の新たな時代を切り開く
七代目三遊亭円楽襲名記者会見
30日、落語家の三遊亭好楽(78)が都内で息子の三遊亭王楽(46)の七代目三遊亭円楽襲名会見に出席した。この日は2022年に肺がんで亡くなった六代目三遊亭円楽の三回忌にあたる。生前、六代目円楽は大名跡「円生」の襲名に心血を注いでいたが、病魔に倒れ、その夢を果たすことはできなかった。生前、メディアにも「なんとか世の中にもう一度戻さなければいけない」と語っていた。
会見では、79年に六代目が亡くなってから40年以上空位となっている円生の名跡についても質問が及んだ。好楽は「私も78歳になって、名前を継がせなければいけないという年頃になってきた」と前置きし、落語協会にも古今亭志ん生と志ん朝の名跡復活を働きかけてきたことを明かした。
円生について、好楽は「円生はうちの鳳楽兄さんが継ぐべきだったんですが、そこに横やりが入ってつぶれてしまったんです」と2010年に起こった襲名問題に言及。具体的な候補者の明言を避けたが、現在は六代目円生の遺族とコンタクトを取り、襲名に向けて動いていることを明らかにした。
さらに、好楽は明治時代に活躍した橘家円喬の復活にも意欲を見せた。「墓所の法明寺を訪れた時に五代目を継がせないといけないと思った。誰かを継がせようとか考えている最中」と計画の一端を語った。そして「いつになるかは分からないけれども近々、五代目円喬と七代目の円生は誕生させる。やるしかないと心に決めている」と気持ちを新たにした。
六代目三遊亭円楽は「昭和の大名人」と呼ばれた落語家で、幅広い演目を持ち、特に人情噺を得意とした。78年には真打ち大量昇進に反発して落語協会分裂騒動を引き起こし、翌79年に急死した。以来、円生の名跡は不在となってきた。
2010年には、六代目円生の弟子である三遊亭円丈(2021年死去)、三遊亭円窓(2022年死去)、そして孫弟子にあたる三遊亭鳳楽(77)の3人による襲名争いが勃発。円丈と鳳楽は「円生争奪杯」の落語会を開くなどしたが、今日に至るまで名跡の問題に決着はついていない。
好楽は、落語界の伝統を守りつつ、新たな世代に継承していくことの重要性を強調した。円生の名跡復活は、落語界の歴史と未来をつなぐ重要な一歩となることが期待されている。また、橘家円喬の復活も、落語の多様性と豊かさを保つ上で重要な役割を果たすと見込まれている。
落語界は、伝統と革新のバランスを保ちながら、次世代に引き継がれていくことが求められている。好楽の言葉は、そのバランスを実現するための一つの指針となりそうだ。七代目三遊亭円楽の襲名は、落語界に新たな風を吹き込むこと間違いなしであり、多くの落語ファンがその活躍を楽しみにしている。
今後、円生と円喬の名跡復活に向けて、どのような動きが見られるか、注目が集まっている。好楽の決意と行動が、落語界の新たな時代を切り開くことを期待したい。