ムフフからバトルへ!夏アニメ『2.5次元の誘惑』と『異世界失格』の意外な展開
2024年の夏アニメが続々と最終回を迎えています。『負けヒロインが多すぎる!』や『【推しの子】』などの作品が盛り上がった一方で、序盤と違った雰囲気で中盤から視聴者を惹きつけていた作品もあります。どのような展開が視聴者から絶賛されているのでしょうか?
『2.5次元の誘惑』は、「少年ジャンプ+」で連載中の同題マンガ(作:橋本悠)を原作とした作品です。本作は2次元のキャラクター「リリエル」をこよなく愛する「奥村正宗(CV:榎木淳弥)」と、リリエルオタクで「リリエルになりたい」という「天乃リリサ(CV:前田佳織里)」との出会いから始まります。奥村はリリサの頼みでコスプレをしたリリサを撮影したり、一緒にイベントへ参加したりと、コスプレの手伝いを始めました。
序盤は、奥村が誤ってリリサの胸や尻に触れたり、下着姿で奥村を挑発してきたもうひとりのヒロイン「橘美花莉(CV:鬼頭明里)」を転んだ拍子に押し倒したりと、ニヤニヤしてしまう展開が目立ちました。しかし、中盤からはコスプレのイベントに参加してさまざまなコスプレイヤーと出会い、それぞれのコスプレにかけるアツい思いが描かれていきます。
特に、現在放送中のコスプレ四天王「753(CV:山根綺)」とリリサたちの戦いは、「盛り上がりがすごい……。スポ根物として展開がアツすぎるし、キャラの心情描写が丁寧で素晴らしい」「三者三様のコスプレへの想いをぶつけ合う熱い展開、ほんとバトルマンガだな」と、多くの視聴者から称賛されています。
当初、本作はリリサたちが部室から出ずに2~3巻くらいで終わるラブコメの予定だったようですが、原作者の橋本悠先生は「リリサ」でアツイ少年マンガを描いてみたいという気持ちが生まれたのだそうです。そこからイベントに参加する「初イベント編」を描いたところ、読者から好評だったため、お色気ラブコメから熱血少年マンガへと舵を切ったと作者本人が語っています。
一方、『異世界失格』は、「やわらかスピリッツ」(小学館)で連載中の同題マンガを原作とした作品です。本作は「センセー(CV:神谷浩史)」が愛人の「さっちゃん(CV:上田麗奈)」と心中しようとしたところ、トラックが突っ込んできて異世界の地「ザウバーベルグ」へ転移してしまいます。転移者であるセンセーは勇者の使命を背負わされてしまいますが、転移者特有のギフテッドを持っていません。センセーは「失格者」の烙印を押されてしまい、自分と一緒に死んださっちゃんを探すために旅へ出るのです。
序盤では、死にたがりの文豪が異世界へ転生する設定から、ギャグ作品に思えました。しかし、第4話ではギフテッドを悪用する堕転移者との戦いが描かれ、戦いを通してセンセーがギフテッドを持っていると発覚します。そして、第5話では魔王を滅ぼした7人の転移者が、反旗を翻してザウバーベルグを自分たちの理想の地にすると宣誓し、転移者との戦いが浮き彫りになりました。
また、第8話では視聴者から「胸クソ」といわれる話が描かれます。世界樹の麓にある村では、堕転移者が村を荒らし、魔女と呼ばれる「エッシェ(CV:能登麻美子)」が堕転移者に取り入っていました。そのような状況で、センセーとは別の転移者が堕転移者を追い出すと、村人たちはエッシェも追い出してしまいます。しかし、実はエッシェは世界樹の精霊で、堕転移者に取り入るどころか、村を守っていたのです。エッシェを失った村では象徴ともいえる大切な世界樹が枯れてしまうという悲劇に見舞われ、報われない結末を迎えます。
この話はネット上でも「醜さや哀れさを感じさせる。あの村の今後のことを思うと気が重くなるな」「ドラクエを思い出した。ドラクエって助けた村人がクズなこと多いよね」と、声があがりました。