脳内麻薬全開のギャンブラーレスラー、瀧澤晃頼が藤田ミノルに挑む!TTTプロレス『CONVICTION 10』で見せた驚異の粘り
5日、東京都・新木場1stRINGでTTTプロレスリング『CONVICTION 10』が開催され、瀧澤晃頼が藤田ミノルの持つインディー統一無差別級王座に挑戦した。
藤田ミノルは現在、インディープロレス界を荒らし回るベルトハンターとして活躍しており、8月の大会でインディー統一無差別級王座を獲得。ユニオンMAX王座とのシングル二冠王に輝いた。TTTはかつてターザン後藤さんが掲げた「インディー統一」の夢を叶えるために旗揚げされた団体で、藤田はその夢を達成しかねない存在として、真っ先に潰さねばならないターゲットとなっている。
瀧澤晃頼は高校時代にレスリングでインターハイに出場した経験があり、ファイヤーバード・スプラッシュをはじめとする空中殺法も得意とするトータルファイター。昨年1月にはインディー統一王座を獲得した実力者だが、リング上では自己主張に乏しく、存在感が薄い印象があった。前回の挑戦表明では、6人タッグ王座戴冠の喜びのあまりテンションが上がり、不安を煽る形となっていた。
試合では、瀧澤が奇襲を仕掛けて試合の火蓋を切った。試合中、瀧澤は「正々堂々!」と握手を求めたり、柔術家のように寝転んだり、コーナーマット外しに苦戦したりと、ファンからもどよめきの声が上がった。その後も、ワイヤー入りの硬いサードロープを使ったスネへの「ゴムパッチン」攻撃や、リング下から姿を隠して藤田を撹乱するなど、以前とは一転したトリッキーなファイトを展開した。しかし、リング下から出てきた際、藤田の前に転がり込んで大失態を犯し、窮地に陥った。
瀧澤は驚異の粘りを見せ、藤田のロープ掴み式サムソンクラッチをレフェリーの腕を掴んでカウントを止めるなどして阻止。藤田の右打ち(※急角度ハンマーロックDDT)から奥の手のファイヤーバード・スプラッシュを狙ったが、藤田が雪崩式SAYONARA(※ツームストーン・パイルドライバー)で切り返した。瀧澤は必死の丸め込み攻勢で粘り、一瞬の隙を突いてバイシクルキックを狙ったが、身体がついて行かず膝から崩れ落ちた。
最終的に、藤田は瀧澤を引き起こし、強烈なエルボーを叩き込み、最後は片足を抱える形での変形SAYONARAで3カウントを奪った。
試合後、藤田は瀧澤の大健闘を称え、両手で瀧澤の手を包み込んだ。その後、藤田がマイクを要求したが、TTT所属勢が総出で阻止。11月9日の新木場大会で、橋之介が藤田に挑戦することが決まった。
瀧澤晃頼はこれまで内に秘めた個性をリング上で発揮できずに伸び悩んでいたが、この試合では脳内麻薬を全開にして独自の世界観を押し付けることで相手を翻弄する個性を獲得。試合は王座戴冠を逃したものの、殻を破って覚醒する大きな一歩となった。