ASRockのAMD X870E/X870マザーボード発売記念イベント:Ryzen 9000シリーズと豪華電源設計の真価とは?
ASRockは5日(土)、東京・秋葉原のLIFORK 秋葉原IIで「ASRock AMD X870E/X870マザーボード発売記念イベント」を開催した。雨天にもかかわらず、多くのASRock/AMDファンが集まった。
イベントでは、ASRockエクストリームプロダクトマーケティングの原口有司氏と日本AMDの佐藤美明氏が登壇し、AMDの最新チップセット「AMD X870E/X870」を搭載したASRockマザーボードについて解説した。X870EとX870の主な違いは、チップセットがデュアルチップかシングルチップかの構成で、PCIeレーンやUSB/SATAポート数が増加している点がポイントだ。
ASRockのX870シリーズ搭載マザーボードは、安定性に優れた電源設計が特徴で、20Kブラックコンデンサを搭載。このコンデンサは1,000μfの静電容量と105℃環境で2万時間の耐久性を誇り、65℃環境では228年という超長寿命を実現している。
AMDの佐藤氏は、Zen5アーキテクチャが「非常に素性の良いアーキテクチャ」であり、Ryzen 9000シリーズが「連続した高負荷のワークロードにおいて最強のCPU」であると強調した。Ryzen 9000シリーズは内蔵センサーで温度変化や電圧の変動を監視し、動作クロックも変動するデザインになっている。そのため、ASRockマザーボードの過剰とも思える電源設計が、Ryzen 9000シリーズのポテンシャルを最大限に引き出せる理由となっている。
また、9月末にはコア間レイテンシーの削減やRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600XのTDP制限を105Wに引き上げられる設定が追加された「AGESA PI 1.2.0.2」が公開された。このAGESAを組み込んだUEFIが、マザーボードメーカー各社から順次公開されている。特にRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xでは、TDP上限の制限緩和により電源周りをさらに活用できるようになっている。
Ryzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xは発売当初TDP 65Wだったが、新AGESAアップデート後のTDP 105W設定も製品保証の対象となることが確認されている。
一部のASRockマザーボードには、独自のUSBポート設計「Lightningゲーミングポート」が搭載されている。このポートは、専用ポートに他ポートと異なるUSBコントローラー/バスを用意することで、ジッターやレイテンシーを軽減する。プロゲーミングチームでも「Lightningゲーミングポートがないと動作が安定しない」という声があり、所属選手用のPCでASRockマザーボードを採用している事例もある。
後半セッションでは、AMD佐藤氏がRadeon GPU向けのフレーム生成技術「Fluid Motion Frames 2 (AFMF2)」の正式提供開始について言及した。AFMF2は既存のAFMFからレイテンシーが低減され、よりネイティブ動作に近い操作感になっている。原口氏も「マウスを振ればスムーズさが明らかに違う」、「遅延も分からない」と絶賛した。佐藤氏は「ミドルクラスGPUでの効果は劇的」、「ハイエンドモデルが売れなくなってしまうかも」と苦笑いを浮かべた。
また、画像生成AIについても、AMDが開発協力するTensor StackのGUIフロントエンド「AMUSE」が公開され、話題の生成モデル「FLUX.1」などをRadeonで気軽に実行できるようになった。競合製品と比べ、生成AIの実行環境を構築するには知識が必要だったが、AMUSEなどの提供で導入のハードルが大幅に下がっている。
イベント会場では、X870E/X870搭載の最新ASRockマザーボードの展示や、『ファイナルファンタジーXVI』PC版のAFMF2実働デモが設置され、来場者の注目を集めた。