島津製作所のDomo活用による全社的データドリブン化とDX推進

島津製作所のDomo活用による全社的データドリブン化とDX推進

島津製作所は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するために、全社的なデータ活用を推進するツールとして「Domo」を導入した。島津製作所は、中期経営計画に7つの経営基盤の強化を掲げ、その一つがDX推進である。2019年に製造部門からDomoを導入し、「データに基づいた製造」の実現を目指している。Domoを導入した結果、情報収集とデータ加工がいつでも可能になり、目指していた「MAIC」(Measure:測定、Analyze:分析、Improve:改善、Control:管理)サイクルが回るようになった。これにより、製品の棚卸削減に成功し、製造部門でのDomoの活用は広がってきた。

さらに、データ活用の社内啓発活動やトレーニングを実施し、データ活用人材の育成に取り組んでいる。しかし、全社的なデータ活用の定着にはまだ課題があり、データドリブン文化の醸成には至っていない。そのため、各部門に対してDomoの活用意義を説明するのに多くの時間を費やしていた。そこで、Domoを単なるデータの可視化ツールとしてではなく、アクションを促すためのダッシュボードとして活用するという発想の転換が行われた。

コロナ禍において、分析計測事業部のグローバルSCMセンターでは、需給バランスの崩れにより物流が停滞し、部材の入手が困難になり、納期が遅延していた。さらに、海外販売会社の需要変動が生産計画に反映されるまでに時間がかかり、これらの生産計画の情報がサプライヤーに伝わるまで最大で2カ月以上を要していた。

そこで、グローバルSCMセンターの業務負担となっていたサプライチェーン関連部署との情報共有とデータに基づく意思決定を支援するために、グローバルの需要をできる限りリアルタイムに収集し、そのデータを生産計画や配送計画に反映させるダッシュボードを作成した。その結果、サプライヤーへの情報共有にかかる工数を月間51時間削減することができた。

島津製作所では、DXを加速するには人材育成プログラムを効率的に継続できる仕組みを作ることが成功の鍵だと考え、Domoを活用して従業員の研修の受講状況や学習効果を分析している。中期経営計画の達成に向けて、2025年度末までに100人のビジネスアナリストを育成することを目指すとしている。