SPACE WALKER、革新的な小型再使用ロケットの機体リースで2030年代に1500億円の収入を目指す

SPACE WALKER、革新的な小型再使用ロケットの機体リースで2030年代に1500億円の収入を目指す

東京理科大学発のロケット開発スタートアップである SPACE WALKER は、10月8日に事業報告会を開催し、同社代表取締役CEOの眞鍋顕秀氏が、有翼式再使用型ロケットを他社にリースする「ロケットリース」構想を発表した。このビジネスモデルの実現を目指すのは2030年代だ。

世界の再使用ロケットは大型が主流で、小型ロケットはまだ実現していない。SpaceX の「Falcon 9」をはじめ、再使用ロケットで採用されている「逆噴射式」では、帰還時も推進薬の搭載が必要となるため、大型化を避けられないという。そこで、SPACE WALKER では独自技術による推進薬タンクの軽量化と有翼式の機体によって、片道分の推進薬でも往還できる小型の再使用ロケットを開発している。

同社が目指すのは、ロケット機体のリースという世界初のビジネスモデルだ。一般的にロケットメーカーは、機体製造から打ち上げオペレーションまでを垂直統合で担うが、SPACE WALKER では機体を他社に販売したり、リースで提供したりする、「飛行機や自動車など他のモビリティでは当たり前の」ビジネスモデルに挑戦する。

眞鍋氏は、小型衛星のリプレイスやチャーター打ち上げ需要は、今後年間で1000機ほどあると予測している。仮に SPACE WALKER が年間50~100回の頻度で衛星打ち上げサービスを実現したとしても、残り900回の機会を取りこぼしてしまうことから、1段目有翼ブースターを他社にリースすることで、できるだけ多くの需要に応えたいと話している。

同社が開発するロケットの打ち上げ能力は、地球低軌道(LEO)600km に310kgまでの小型衛星を打ち上げられる予定だ。費用は、衛星打ち上げサービスが1回5億円、他社への機体リースが1回2億円を想定している。これは、1回あたり11億円(750万ドル)の打ち上げ費用がかかる米 Rocket Lab の小型使い捨てロケットと比較しても、大幅なコスト削減が見込める。

同社は2030年代前半に商用打ち上げサービスを開始し、同時に機体のリースも始める予定だ。当初は打ち上げサービスを中心に年間500億円の収入(売上高+補助金・助成金)を目指す。その後は、機体リースの数を増やすことで、2030年代中盤に1500億円、2040年代に2500億円以上の収入を目標に掲げている。