NHK朝ドラ「おむすび」で“他人が作ったおむすび”を食べるかどうかの論争、その背景とは?
10月4日、NHK連続テレビ小説「おむすび」の第5回放送で、橋本環奈(25)さんが演じる主人公・米田結が、貧困家庭に暮らすギャル仲間スズリン(岡本夏美=26)に自身の祖母からもらったおむすびを提供するシーンがあった。スズリンはおむすびを食べ、空腹を解消したが、このシーンについて視聴者から様々な反応が寄せられた。
特に、他人が作ったおむすびを食べるかどうかという議論がX(ツイッター)などで巻き起こった。《赤の他人が握ったおにぎりは無理》という意見や、《お袋か女房以外無理》と線引きを語る投稿も少なくない。一方で、《スズリンが他人の握ったおむすびが食べられないタイプじゃなくてホッとした》と安堵する声や、《他人の握ったおむすびは無理だ。こんなに強引に渡されたら厳しいかも》と拒否感を示すコメントも見られた。さらに、《他人が握ったおむすび食べるの躊躇しちゃう人の割合ってどれくらいなのかな?》と、世の動向に注目する声も上がっている。
「他人が作ったおにぎりが食べられない」問題は、近年特に注目されている。その背景には、他人が触れたものは汚いと感じる潔癖症の一種があるとされる。2018年にベネッセが行った調査によると、小学生の子供を持つ親の85.6%が「お母さんが握ったおにぎり」は子供が食べられると回答した一方で、「友人・知人が握ったもの」については45.8%しか食べられないと答えていなかった。つまり、54.2%の小学生が他人が握ったおむすびを食べられないと感じていることになる。
2019年には、横浜市立大学医学部が「他人が作ったおにぎり問題が食べられない」について小論文を出題。受験者に対して、他人が握ったおにぎりを食べられないとする生徒たちへの指導方法を問う問題を設定した。
この問題は、ネットの質問サイトなどで時折話題となるが、メディアで取り上げられるようになったのは2012年頃からだ。「AERA」(2012年6月25日号)では、「他人のおにぎりが食べられない 気にする人がいることにも理解を」というタイトルで特集され、《母と母方の祖母が握るおにぎりは大丈夫だけど、それ以外の人が握ったのは、食べられないんです》(女子学生/22歳)といった生の声を紹介していた。
なお、10月4日放送のシーンは2004年を舞台にしている。当時、スズリンがおむすびを食べるのを一瞬ためらった理由は、問題が発生していなかった時代であったため、別の理由でためらった可能性もある。
あなたは、他人が作ったおむすびは食べられるだろうか。それとも……。