[MOM980]流通経済大GKデューフエマニエル凛太朗(2年)_目立ちたがり屋のプロ注目大型GK
立ち上がりから好セーブをみせてチームを盛り立てた。前半9分に駒澤大はスローインをヘディングで繋いで決定機を作るが、FW鈴木心月(4年=三浦学苑高)の反転シュートを、流通経済大の守護神、GKデューフエマニエル凛太朗(2年=流通経済大柏高)が防いだ。
2点をリードして迎えた後半アディショナルタイムに1点を返されたが、2試合ぶりとなる勝利に貢献した。チームは春に3冠を掲げたが、リーグ優勝が厳しくなった中、最後の1冠であるインカレへの出場権を獲得するためには8位以内に入らなければならない。先週の筑波大戦で敗れた後、チームとして矢印を同じ方向に向けて戦えたと感じている。混戦の中で流経大は順位を一気に6位に上げた。
今夏、デューフエマニエルは大学に初めて怪我による長期離脱を経験した。昨年9月ごろから左ひざに違和感を持ちながらプレーしていたが、今年6月の練習中にプレーできないほどの痛みに変わった。病院で左膝蓋腱炎と診断され、約3か月の離脱期間を経て、総理大臣杯の初戦となった中京大戦で復帰。残念ながら初戦敗退となったが、リーグ再開試合の9月21日の桐蔭横浜大戦では無失点で抑えて勝利に貢献した。
東京都世田谷区出身のデューフエマニエルは、セネガル人の父と日本人の母の間に生まれ、小学6年生のときにはすでに170cmに迫る体格があった。バスケットボールに誘われることもあったが、本人はサッカー一筋。小学生までは主にFWとしてプレーしたが、中学校に進学して本格的にGKに取り組んだ。中学校にはキーパーコーチがいなかったため、飛ぶ練習などを経験していなかったが、流経柏のセレクションを受けて進学が決まった。
本格的な指導を受け、ポテンシャルが開花した。高3時にはU-18日本代表に選ばれ、大学入学前には日本高校選抜の一員として欧州遠征を経験。大学入学後の1学年上には23年U-20W杯日本代表のGK彼島優(3年=FC東京U-18)がいるが、入学当初からほとんどの試合でゴールマウスを守ってきた。「優くんの存在は大きくて、いつも刺激をもらいながら、負けないように毎日取り組んでいます」。首脳陣に贅沢な悩みをもたらす競争ができている。
プロクラブも熱視線を送り続けている。高校時代から湘南ベルマーレやロアッソ熊本の練習に参加。大学に入ってからも引き続き湘南の練習に参加し、今春は浦和レッズのキャンプにも帯同した。「プロの選手と一緒に生活すると意識の違いに気づく。練習の一時間半前にグランドに来てストレッチをしていたりして、意識の部分ですごく刺激を貰った。でも自分の感覚的なところなんですけど、強度は流経でもそんなに大差はないと思っていて、プロに近い環境にいると思う。その中でもっとチャレンジして、突き抜けられればいいなと思っています」。
大学でしっかりと力をつけてからプロに行きたいという考えをしっかりと持っている。「仲のいい塩貝健人だったり、自分の代の選手が海外で活躍するのは刺激になる。逆に言えば悔しい部分もあるけど、自分はまだそのレベルにないと思っている。しっかり身の丈に合わせてちゃんと活躍できるような技術を身につけてからプロに入りたいと思っています」。プレーの安定感、アベレージの高さを追及していくつもりだ。
デューフは根っからの目立ちたがり屋で、ゴールキーパーは“天職”だと感じている。「自分で勝てるというところ、最後の砦というところがかっこいいと思っていて、それに一人だけ手を使えたり、ユニフォームも違うところが気に入っている。逆にミスすれば目立つんですけど、高校時代から『そこを恐れずにチャレンジするところにロマンを感じられるか』とずっと言われてきた。キーパーでよかったなと思っています」。
日本代表ではGK鈴木彩艶(パルマ)、今夏のパリ五輪でもU-23日本代表の守護神を務めたGK小久保玲央ブライアン(シントトロイデン)と外国人の血を引く選手がゴールを守る流れができている。「肌の色が違っても日本のために戦う姿勢はかっこいいなと思いますし、自分も日本人としての誇りを忘れずに戦っていきたい」。ロマンを追い求めながら、夢を追いかけ続ける。