「役割明確化で挑んだ」大岩剛監督のパリ五輪チーム作り:新たなアプローチとその結果
8月いっぱいで五輪代表監督を退任した大岩剛氏は、パリ五輪サッカー男子日本代表の活動について語った。代表チームは23歳以下の選手のみで構成され、グループステージを突破したものの、ベスト8で敗退した。大岩監督は、この結果をどのように受け止め、代表チーム作りにどのようなアプローチを取ったのかを語った。
大岩監督は、代表監督としての仕事は「うまい選手や強い選手を選んで、その選手たちをどう組み合わせて、チームを機能させるか」を考えることだと述べた。しかし、代表チームはクラブチームと異なり、練習時間を十分に取ることができないため、単に選手を選んで組み合わせるだけではチームとして成立しにくいと感じていた。
2022年3月のドバイカップでチームが立ち上げられたが、当初のメンバーは所属クラブで出番のない選手が多く、「プレーヤーとしてまだまだ確立されていない選手の集合体だった」と振り返る。特に、選手たちが自信をもってプレーできていないことが気になった。
2022年11月18日、日本はヨーロッパ遠征でU-21スペイン代表と対戦し、0-2で敗れた。この試合は大岩監督にとって大きな衝撃となった。スペインの選手たちは迷いなくプレーし、各ポジションの役割を理解していたため、判断スピードとプレースピードが高かった。この敗戦は、進むべき道を明確にした。
大岩監督は、選手のセレクトを重視するのではなく、選手に求めるものと各ポジションのタスクを明確にすることでチームを作り上げることを選択した。これは日本の持ち味を最大化することにつながると考えたからだ。各ポジションの役割を明確にすることで、チーム全体の動きが明確になり、選手たちは自信を持ってプレーできるようになった。
五輪代表の試合はFIFAの定めるインターナショナルウインドー外の活動も含まれるため、メンバーの顔ぶれはたびたび変わった。それでも、大岩監督はアプローチの方法を変えなかった。選手たちの成長に伴い、求めるレベルを上げても応えられると感じていた。また、役割を明確にすることで迷いが取り除かれ、短い時間で効果が出ることにつながった。
パリ五輪準々決勝では、スペインと再戦し、0-3で敗れた。しかし、大岩監督は進んできた道は正しかったと考えている。結果が出なかったことは悔やまれるが、このアプローチが参考になることもあると述べた。
大岩監督は8月31日をもってオリンピック代表としての仕事を終えた。今後については未定だが、「世界で戦って、鹿島時代とはまた違う経験を積んで、それを出していきたい」と述べ、指導者として現場に立つことを希望している。来季の監督候補として名前が取り沙汰されており、Jリーグの舞台か、別の場所で指揮を執る可能性がある。指導者、大岩剛の新たな仕事に注目が集まっている。