平成ドラマの青春輝き:市原隼人と『WATER BOYS2』の爽やかシンクロ
平成のドラマには、独特の匂いがあった。明るくてヤンチャな男の子たちは、まさに“平成”という時代そのものを体現している。茶色い髪や着崩した制服、独特の言葉遣いは今やちょっとした憧れの的。軽薄でベタなストーリーも醍醐味だった。というわけで今回は、平成女子たちをメロメロにしたドラマの男性キャラを紹介。第4回は市原隼人主演の『WATER BOYS2』(フジテレビ系、2004)について。
名門進学校の落ちこぼれ・水嶋泳吉(市原隼人)は、女子生徒が9割を占める姫乃高校に転校。男子運動部に入ろうとするが、男子の数が圧倒的に少ない姫乃高校には男子運動部がない。そこで臨時教師の早乙女先生(金子貴俊)に進められるまま、山本洋介(中尾明慶)とともにシンクロ部を設立する。
本作は、妻夫木聡主演の映画『ウォーターボーイズ』(2001)と山田孝之主演のドラマ『WATER BOYS』(フジテレビ系、2003)に続く3作品目。前作とは別の町を舞台に、男子高校生がシンクロに青春をかける姿が描かれる。
『WATER BOYS』シリーズの特徴は、全編に漂う「爽やかさ」だ。一般的に、スポ根ものといえば、汗臭さや泥臭さが漂う作品を思い浮かべる方も多いだろう。一方、本作で描かれるのは、泳吉たちの友情や栞(石原さとみ)との恋といった淡い人間ドラマだ。加えて、何かあるたびに全力ダッシュをかますという青春ドラマのお約束展開も、爽やかさに拍車をかけている。
そして、忘れてはならないのは、シンクロシーンだ。日に日に引き締まっていくキャスト陣の体つきや、演技を超えた真剣なまなざしには、思わず恋をしてしまうこと請け合いだろう。若者たちの青春をストレートに提示してくる演出は、今観ても素晴らしく、普遍的な輝きを放っている。
主演の市原隼人は、当時17歳。その瞳には、プールの水面の照り返しのようなかがやきと、思春期特有のモヤモヤが混在しており、言葉では表現できない魅力を放っている。本作をきっかけに大きく飛躍し、『ROOKIES』(2008、TBSテレビ)をはじめ、平成期の青春ドラマには欠かせない存在となった。