【岡田監督不在の虎】阪神、『鬼』不在の練習場で淡々と『やるべきこと』をこなす
岡田監督不在で行われたシート打撃。阪神の選手や首脳陣がいるグラウンドに着いて全体を見渡すと、監督の不在がすぐにわかった。元球団社長の南信男は、キャンプ地の沖縄・宜野座村野球場で「岡田監督は存在感がある。どこにいるのか探さなくても目に入る」と話していたことを思い出す。
9日朝、甲子園球場のグラウンドや室内練習場で、岡田監督の不在がすぐにわかった。前日8日の練習中、岡田監督が「しんどいんや」と漏らしていたため、心配していた。今季限りでの退任が決まっていることもあり、疲れが出たのかもしれない。練習後に病院に向かっていた。
球団広報から体調不良で休むとの発表があり、風邪だと説明された。9日と10日の全体練習を休んで静養し、11日に復帰する予定だ。12日にはクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが始まる。
岡田監督は「オレは風邪なんかひいたことないで」と自慢していたが、練習や試合を休むのは初めてのことだ。練習は滞りなく進んだ。夜来の雨で朝はグラウンドが使えず、室内でフリー打撃を行った後、外に出てシート打撃を行った。監督不在でも、選手たちは遠ざかる実戦勘を取り戻そうと、投手は打者に対し、打者は投手に対していた。
昨年優勝した際、岡田監督は「選手たちが自分のやるべき役割を理解していた」と話していた。練習でも、「やるべきこと」を淡々とこなす。「岡田の野球」を理解した選手たちがいた。昨年の開幕直後、球団本部付スペシャルアシスタント(SA)の藤川球児は「選手たちに岡田監督の血が流れだした」とテレビ解説で話していた。藤川は次期監督の最有力候補である。
岡田の教えは今や血となり、肉となっている。「鬼」がいなくても血が通っている。練習を指揮したヘッドコーチ・平田勝男は「何も言うことはないよ」と話していた。この日シート打撃に登板した高橋遥人を「休養十分だったね。岡田監督も休養十分で戻ってくるよ」と笑った。夕方には、岡田監督がずいぶん回復したとの連絡があった。