新スペースインテリジェンスと三菱総合研究所、衛星画像を用いた島の埋め立て・施設建造の変化検知に成功
新スペースインテリジェンス(NSI、山口県宇部市)と三菱総合研究所(MRI)は、衛星画像から島の変化状況を分析する概念実証(Proof of Concept:PoC)を実施し、島の埋め立てや施設の建造状況の変化を捉えることに成功した。10月7日に発表した。
今回のPoCでは、南シナ海の諸島部で以下の取り組みを実施した。
- 埋め立てや施設建造の工程の仮説を独自に構築。
- 衛星画像を解析して検証し、変化を検知する手法を検討。
- 各種の公開情報や船舶の動静データなど、衛星データ以外の情報も組み合わせて分析。
衛星画像を活用して埋め立てや施設建造の変化を検知することに成功したと説明している。
今回のPoCの成果を生かして、今後提供するサービス開発の方向性を特定できたという。既存の類似サービスは写真から変化を判読するものが多いのに対して、両社の取り組みはさまざまなインデックス(観測データの変化指標)を活用して広域の変化を定期的に捉えることが特長としている。
ユーザーが関心を持つ地域を対象に定期的な変化やリスクの予兆把握が可能になると説明している。安全保障や防災、港湾などのインフラ、海上物流などのユーザーのニーズに対応したインテリジェンスサービスを開発、提供していく考え。
NSIは複数の衛星画像を対象に画像の選択、統合、解析、提供といった一連のプロセスをパイプラインとして自動化する技術を保有していると説明している。2023年12月にMRIが出資し、事業連携を開始した。MRIはこれまで衛星データ利用の社会実装に向けた調査検討や実証に取り組んできた。安全保障分野での業務実績もあるとしている。
不確実性や不透明性の高い社会では、客観的な証拠に基づいた意思決定に貢献できる情報(インテリジェンス)が不可欠と説明している。衛星などの空間情報に基づくインテリジェンスへのニーズは拡大傾向にあり、全世界で10兆円規模の市場になると考えられている。両社は互いの強みを生かしながら、衛星データなどを活用した国内外向けのインテリジェンスサービスの開発に取り組んでいる。今回のPoCもその一環と位置付けている。