ヴァンエク、3000万ドルの新ファンドで暗号資産やAIに投資、アーリーステージベンチャーを支援へ
グローバル投資運用会社のヴァンエク(VanEck)は9日、プレシードまたはシードステージにあるフィンテックやデジタル資産、人工知能(AI)の企業に焦点を当てた新しいファンドの立ち上げを発表した。このファンドは、ヴァンエク・ベンチャーズ(VanEck Ventures)と呼ばれ、3000万ドル(約45億円、1ドル150円換算)の運用資産を持つ。
ヴァンエク・ベンチャーズは、同社のベンチャーキャピタル分野への戦略的拡大を示すもので、ワイアット・ローナーガン(Wyatt Lonergan)氏とフアン・ロペス(Juan Lopez)氏が率いる予定だ。両者は、以前にステーブルコイン発行企業サークル(Circle)のベンチャー部門であるサークル・ベンチャーズ(Circle Ventures)のトップを務めていた。
3000万ドル(約45億円)の資金は、25~30件のプロジェクトに提供され、1件あたりの投資額は50万ドル(約7500万円)から100万ドルの範囲となる。このファンドは、戦略面と財務面で成長の可能性がある企業に焦点を当てる予定で、すでに4件のプロジェクトに投資している。
ヴァンエクのCEO、ヤン・ヴァン・エク(Jan van Eck)氏は、「1968年に金投資へのアプローチの先駆けとなったことから、2017年にビットコインの破壊的なポテンシャルを認識していたことまで、変革的な機会に対する長期的な見方を持つことは常に当社の投資哲学の一部だった。このファンドは、その先見の明をアーリーステージのベンチャー分野にまで拡大するものだ」と述べた。また、「当社は、フィンテック分野において最も破壊的な企業の中に含まれると信じる企業、つまり金融の未来を構築している企業の創設者を支援することを楽しみにしている」と語った。
ヴァンエクによると、このファンドは特に、アプリケーションレイヤー上で構築を行いながらインフラに依存しないアプローチを維持しているプロジェクトを探している。例えば、トークン化された資産、インターネットネイティブな金融市場、次世代の決済ミドルウェア、ステーブルコイン上に構築されるアプリケーションなどが対象となる。
69年の歴史を持つヴァンエクは、新たな投資トレンドを特定してきた実績がある。すでに暗号資産(仮想通貨)に焦点を当てた複数のETF(上場投資信託)を提供しているが、デジタル資産分野で大きな計画を進めている。3月のCoinDeskとのインタビューで、ヴァンエクのポートフォリオマネージャーであるプラナヴ・カナデ(Pranav Kanade)氏は、ヴァンエクのCEOが運用資産における暗号資産の割合を現在の約1%から15%にまで増やしたいと考えていると述べた。