FBIが独自トークン「NexFundAI」を駆使した仮想通貨市場操作事件で広範な訴訟を提起
米司法省(DOJ)は10月9日、18の個人と企業に対して、暗号資産(仮想通貨)市場の操作に関与したとして、広範な刑事訴訟を提起した。この訴状は、連邦捜査局(FBI)が独自の暗号資産トークンを発行し、市場を操作する容疑者を罠にかけるために使用した手法が注目を集めている。
訴状によると、FBIは数十億ドルの市場価値を持つ暗号資産企業を標的とし、独自のトークン「NexFundAI」をイーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で作成した。FBIは、このトークンを用いてマーケットメーカーと接触し、彼らのウォッシュトレーディングサービスの利用について話し合った。
ウォッシュトレーディングとは、参加者が需要があるように見せかけるために偽の売買注文を行う取引方法で、特にオフショア取引所で蔓延している。独立系アナリストは、取引の50%以上が水増しされていると推定している。
この訴訟は、3つのマーケットメーカーとその従業員を対象としており、検察官はこれらの企業が報酬と引き換えにウォッシュトレーディングサービスを提供したと主張している。被告の1人は自らを「首謀者」と称し、自社が中央集権型取引所(CEX)でボットを使用して取引量を増やしていると説明した。
9月に対面での会合に同意した際、彼は事前に2,000ドルの支払いを要求した。先週の時点でも、マーケットメーカーのボットは法執行機関の要請で無効化されるまで、数百万ドル相当のウォッシュトレードを行っていた。
被告のうちの何名かは、マサチューセッツ州拠点の暗号資産企業サイタマ(Saitama)で働いていた。サイタマは、マーケットメーカーとされるゴットビット(Gotbit)と協力し、トークンの価値を人為的に引き上げていた。司法省は、サイタマの幹部が秘密裏にトークンを販売し、数千万ドルの利益を上げていたと主張している。
被告のうち数名はポルトガルやロシアなどで国際的に事業を展開しており、5名はすでに有罪を認めたか、有罪を認めることに同意している。司法省の起訴に加え、米証券取引委員会(SEC)もマーケットメーカー業務に対する証券法違反を訴える民事訴訟を起こした。