マツダ「ベリーサ」:高級志向のコンパクトカーが語る、忘れられた逸品の物語
マツダが2004年に発売した「ベリーサ」は、2代目デミオのプラットフォームをベースに開発されたセミトールワゴンです。ベリーサは、デミオよりも50mm長いボディを採用し、高級志向のモデルとして位置づけられました。当時まだ珍しかったアドバンスドキーを標準装備し、本革シートやHDD内蔵のミュージックシステムなどのハイグレードな装備をオプションで用意しました。
ベリーサは乗車時の快適性にも力を入れ、車内空間を広々と確保し、防音材を多用して静音性を高めました。搭載されるパワーユニットは、1.5リッター直4エンジンと4速ATの組み合わせで、最大出力113馬力、最大トルク14.3kgf・mを発揮し、FFと4WDの駆動方式が選べました。コンパクトカーらしい軽快な走りを実現しました。
2004年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」で特別賞に選出されるなど、上質な内外装と静音性、高い走行性能が評価されました。同年12月には限定800台の限定車を発売し、販売台数の拡大を目指しました。
しかし、新規モデルゆえの知名度の低さや、競合するデミオの高い評価により、ベリーサの販売数はマツダの予想に届きませんでした。マツダはベリーサの魅力を高めるため、本革シートを標準装備にするなど、贅沢なマイナーチェンジを繰り返しましたが、2015年に生産が終了しました。11年間の販売期間にもかかわらず、1代限りで姿を消した「勿体ないモデル」となりました。