「LINEマンガ」を運営するWEBTOON Entertainment Inc., 上場3ヶ月で株価半値に急落、集団訴訟の可能性浮上
今年6月に米国ナスダックに上場した「LINEマンガ」運営企業などを傘下に持つWEBTOON Entertainment Inc.が、現在窮地に立たされている。同社の株価は上場からわずか3ヶ月足らずで公募価格の半値近くまで下落し、集団訴訟を起こされる可能性も出てきている。
WEBTOON社は、マンガ・ウェブトゥーンの制作スタジオや流通プラットフォームを複数地域で展開するグローバル企業として、韓国の「NAVER WEBTOON」や北米でのサービスを運営している。日本ではLINE Digital Frontier社として「LINEマンガ」を運営しており、月間利用者数が8,500万、累計ダウンロード数2億超、月間流通額が100億円を超える一大プラットフォームに成長している。
同社は、プラットフォームの強さや縦読みマンガ「ウェブトゥーン」市場の先行者としての成長性が評価され、今年6月に米国ナスダック市場に上場。初日は公募価格から9.5%高い22.83ドルの終値を付け、注目を集めた。IPOを通じて広告展開を含めたプラットフォームへの投資を行う方針を明らかにしていた。
しかし、10月10日時点の同社株価(WBTN)は約10.74ドルとなり、上場当時の公募価格21ドルに対して50%以上の値下がりを記録している。特に8月上旬には、わずか数日間で20ドル台から12ドルまで半値近い急落が見られた。
株価急落の背景には、上場後初の決算開示となった第2四半期の業績が挙げられる。同社の2Q売上高は前年同期比で0.1%増の3億2,097万ドルにとどまり、投資家やアナリストの予想である3億4,080万ドルを大きく下回った。さらに、同社運営プラットフォームの利用者数も減少しており、月間アクティブユーザーは1億6,000万人、月間有料会員は7,800万人と、それぞれ前年同期比0.8%減、0.4%減を記録している。
同社の決算資料によれば、「LINEマンガ」を筆頭に日本市場でのユーザー獲得や収益は好調であり、自社評価としては「好調」とアピールしている。一方で、本場の韓国市場は芳しくなく、月間有料会員は前年同期の約400万人から370万人へと7.3%減少。ユーザー1人当たりの月間平均支出額も同9.9%減の8.3ドルまで落ち込んでいる。
こうした状況を受け、米国の複数の法律事務所が「2024年6月のIPO時の目論見書において、広告収入の成長鈍化やIP展開による収益の減速、為替変動リスクなどの重要事実が適切に開示されなかった」として、集団訴訟を起こすよう投資家に呼びかけている。ただし、これは必ずしも訴訟に直結するわけではなく、11月までの請求期限内に受付があった場合に提訴の可能性があるという。