「踊る大捜査線」12年ぶり新作と3つの新作映画が11月に公開 室井慎次、青春、人間ドラマ、そしてミステリー
映画「室井慎次 敗れざる者」は、フジテレビの人気ドラマ「踊る大捜査線」シリーズの12年ぶりの新作で、ドラマ放送から27年ぶりの作品です。制作陣は、なぜ今また映画を撮ったのか、令和の若者にはピンとこないのでは、という疑問が浮かびますが、この映画は、その疑問に答えるものかもしれません。
主人公の室井慎次(柳葉敏郎)は、定年前に警察庁を辞し、故郷の秋田に戻っています。組織の中で敗れ、青島俊作との「約束」を果たせなかった室井は、「俺は負け犬だ」とうめきます。しかし、タイトル「敗れざる者」が示すように、室井はまだ敗れていないのです。この映画は、12年ぶりに制作された意味を深く掘り下げ、11月公開の続編「生き続ける者」に決着を委ねています。クリント・イーストウッドの近作のような味わい深さがある作品です。
11日から全国公開。上映時間は1時間55分です。
映画「BISHU 世界でいちばん優しい服」は、愛知県一宮市を中心とした「尾州地域」を舞台に、高校生の神谷史織がファッションコンクールに挑む姿を描いた青春映画です。主演は「ミッドナイトスワン」で新人賞を総なめにした服部樹咲で、劇中では史織が発達障害がある設定が細かい動作などで表現されています。長澤樹が演じる親友との友情の描写は、韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を連想させます。
この映画の優れた点は、主人公が単独で目標に向かって孤軍奮闘するのではなく、友人や周囲の大人たちと協力しながら進む姿を描いていることです。
11日から全国順次公開。上映時間は2時間5分です。
映画「2度目のはなればなれ」は、英国の89歳の退役軍人がノルマンディー上陸作戦の70周年式典参加のため、老人ホームを抜け出した実話を基にした人間ドラマです。オリバー・パーカー監督作品で、2014年英国制作。老人ホームで暮らすバーナード(マイケル・ケイン)は、妻のレネ(グレンダ・ジャクソン)を置いて、一人で仏ノルマンディーに旅立ちます。彼には行かねばならない理由がありました。老人の冒険がSNSで拡散され、社会現象に発展する流れは、「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」と似ています。名優ケインが、青年期に体験した激戦地を再訪する老人役をしみじみと演じています。ジャクソンは昨年6月に死去し、本作が遺作となりました。
11日から全国公開。上映時間は1時間37分です。
映画「最後の乗客」は、東北の小さな街で、タクシードライバーの遠藤(冨家ノリマサ)が閑散とした深夜の住宅街で謎めいた若い女性(岩田華怜)を乗せ、その後、何もない荒廃した路上に突然現れた女の子と母親の2人連れも同乗します。3人の乗客を乗せたタクシーが行き着いた先とは…。宮城県生まれで米ニューヨークで活動する堀江貴監督が、クラウドファンディングで資金を調達し、新型コロナウイルス禍による撮影延期などを経て完成させた自主映画です。世界各地の映画祭で絶賛され、数多くの賞を獲得したヒューマンミステリーで、亡き家族への切ない思いが静かに伝わってきます。
11日から全国順次公開。上映時間は55分です。