銃乱射事件の恐怖…チャールズ・ホイットマンをモデルにした映画『殺人者はライフルを持っている!』の衝撃

銃乱射事件の恐怖…チャールズ・ホイットマンをモデルにした映画『殺人者はライフルを持っている!』の衝撃

元海兵隊員のチャールズ・ホイットマンがモデルとなった映画『殺人者はライフルを持っている!』(1968年)について紹介します。この映画は、1966年に起きたテキサスタワー乱射事件を基に製作されました。

映画の主人公は、ボビー・トンプソン(ティム・オケリー)。一見普通の市民に見える彼は、銃と弾薬を購入し、自分の車のトランクに大量の銃を隠しています。彼は妻と母を殺害し、遺書を残し、高所に陣取って無差別に人々を銃撃します。この行動は、チャールズ・ホイットマンが実際に起こした事件をなぞっています。

1966年のテキサスタワー乱射事件では、元海兵隊員のチャールズ・ホイットマンが妻と母を殺害し、テキサス大学オースティン校の本館に籠城。狙撃用のライフルや食料を持ち込み、15人の犠牲者と31人の負傷者を出す大惨事を引き起こしました。犯人が警官に射殺されるまで、無差別に人々を銃撃したこの事件は、アメリカ社会に大きな衝撃を与えました。動機は不明のままであり、謎に包まれた事件としても知られています。

映画『殺人者はライフルを持っている!』は、1968年という時代背景に大きく影響されています。当時はベトナム戦争が泥沼化し、反戦運動が広がる中、銃乱射事件が社会問題として注目されていました。映画では、銃砲店でボビーが弾薬の使い道を尋ねられ「豚を撃つ」と答える場面がありますが、これはホイットマンが事件前に「イノシシを撃つ」と答えたとされるエピソードを反映しています。

映画の演出は、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の卓越した技術が光ります。特に、年老いた怪奇映画スターのバイロン・オーロック(ボリス・カーロフ)が、現実の凶悪犯を懲らしめるラストシーンは印象的です。

アメリカでは、銃乱射事件が頻繁に起こり、その度に銃規制の議論が繰り返されていますが、依然として実現されていません。映画『殺人者はライフルを持っている!』は、その時代の社会問題を映像で表現し、観客に深い思考を促す作品となっています。