大河ドラマ「光る君へ」:彰子の中宮としての成長と感情の解放

大河ドラマ「光る君へ」:彰子の中宮としての成長と感情の解放

大河ドラマ「光る君へ」第35回:彰子の中宮としての成長と感情の解放

吉高由里子が主演を務める大河ドラマ「光る君へ」は、毎週日曜夜8:00-8:45にNHK総合で放送されている。物語は平安時代の女流作家・紫式部の人生を描いており、主人公・紫式部こと“まひろ”(吉高由里子)が女房として働き始めたことで、舞台は内裏へと移った。特に、中宮彰子(見上愛)の成長ぶりが視聴者の注目を集めている。第35回では、心を閉ざしていた彰子が一条天皇(塩野瑛久)に素直な心を打ち明けた場面が視聴者の心をとらえた。

宮中での「源氏物語」の流行

「光る君へ」は、紫式部が「源氏物語」を生み出した平安時代を舞台に、大石静が脚本を務めている。主人公のまひろと、彼女のソウルメイトとなる藤原道長(柄本佑)の関係も重要な要素となっている。第35回では、まひろが書く物語に彰子が自身の境遇を重ね、一歩踏み出す様子が描かれた。

宮中では「源氏物語」の第五帖、若紫の巻が流行中。藤壺でも女房たちが集まって、少女時代の紫の上と光源氏の出会いが描かれたストーリーについて、「この子は光る君のおもちゃのようなものですわ」などと、くちぐちに感想を言い合っている。女房たちの色とりどりの衣装、ゴシップを楽しむかのように交わされる会話…中心に座る彰子は、ただ黙って女房たちの話を聞いている。

彰子の素直な心

そんな“読書会”の後、彰子がまひろだけに「光る君に引き取られる娘は、私のようであった。私も幼きころに入内して、ここで育ったゆえ」とぽつりと語り掛けた。彰子は、その後の展開を気にするまひろに「どうなればよいとお思いでございますか?」と問いかけると、「光る君の妻になるのがよい。妻になる…なれぬであろうか。藤式部、なれるようにしておくれ」と、すがるような表情で言った。

“妻になる”以降のことばは、彰子が自分自身を思ってのものだろう。彰子の思いを受け止めたまひろは、「中宮様。帝に、まことの妻になりたいと仰せになったらよろしいのではないでしょうか。帝をお慕いしておられましょう」と、やさしく促した。

まひろの言葉が彰子の背中を押す

そして、それに続くまひろの言葉が、彰子の背中を押した。「私の存じ上げる中宮様は、青い空がお好きで、冬の冷たい気配がお好きでございます。左大臣様の願われることも、ご苦労もよく知っておられます。敦康親王様にとっては、唯一無二の女人であられます。いろいろなことにときめくお心も、お持ちでございます。その息づくお心のうちを、帝にお伝えなされませ」。

あいさつに上がった際に彰子がふいに語った“本当に好きなもの”。曲水の宴でともに目にした左大臣・道長の姿。彰子が女房たちの目を盗んで敦康親王(渡邉櫂)にほほ笑みかける様子…。その一つ一つが、まひろだけが見てきた彰子の姿だ。

“この人は本当の自分を見てくれている”と思わせるに十分な言葉で背中を押された彰子は、つ…と静かに涙を流した。そして、その場にたまたまやってきた一条天皇に唐突に「お上、お慕いしております!」と思いを伝え、あふれ出る感情そのままに泣きじゃくった。

彰子の感情の解放

ため込んできた彰子の感情が、まひろの一言をきっかけに一気にあふれ出した…そんな号泣シーン。一条天皇が去った後でもまだ止まらない涙は、まるでとめどなくあふれ出す感情そのものだ。この瞬間について、彰子役の見上愛は番組公式サイトで公開された動画「君かたり」で「解放じゃないけど、今まで絡まっていた糸みたいなものがほどけていく感覚」と語っている。

見上愛の活躍

“いけにえ”としての入内から8年、まひろのことばをきっかけに感情を一気に解放させた彰子。演じる見上愛は2000年10月26日生まれの23歳で、2019年にデビューし、大ヒットドラマ「恋はつづくよどこまでも」(2020年、TBS系)のナース役で初レギュラーを務めた。その後、ドラマ「きれいのくに」(2021年、NHK総合)で容姿にコンプレックスを持つ女子高校生を演じ、注目を集めた。

2024年は「春になったら」(フジテレビ系)でヒロインの親友役、「Re:リベンジ-欲望の果てに-」(フジテレビ系)では主人公に思いを寄せる記者、「ゲームの名は誘拐」(WOWOW)では父親相手に“狂言誘拐”を企てるヒロイン、そして主演ドラマ「恋愛バトルロワイヤル」(Netflix)では超エリート高校でたくましく生き抜く主人公を演じるなど、「光る君へ」以外にも多くの作品でメインキャラクターを務めるめざましい活躍ぶりだ。

視聴者の反応

彰子の成長ぶりに、視聴者からも「彰子様の感情爆発告白シーンにもらい泣きした」「見上愛ちゃん本当に素晴らしかった」「回を重ねるごとに魅力的になっていく」といった声が続々と寄せられている。

今後の展開

「光る君へ」9月22日(日)放送の第36回では、ついに妊娠した彰子のその後が描かれる。史実では天皇の生母として政務を後見し、大きな影響力を持つことになる彰子。その成長から目が離せない。

彰子の中宮としての成長と感情の解放は、視聴者に深い感動を与え、今後の展開に大きな期待が寄せられている。