『光る君へ』第36話:皇子誕生の喜びとその裏の複雑な人間関係

『光る君へ』第36話:皇子誕生の喜びとその裏の複雑な人間関係

『光る君へ』第36話の物語を振り返る

NHKの大河ドラマ『光る君へ』の第36話では、平安時代中期を舞台に紫式部の生涯が描かれ、一条天皇と中宮・彰子の皇子誕生の物語が展開された。皇子の誕生は道長の悲願であり、その喜びは計り知れないものだった。しかし、その祝福ムードに暗い影が差し込む。

皇子・敦成の誕生を祝う一方で、彰子の懐妊を喜ばない者たちもいた。特に道長の権威失墜を願う伊周は、彰子を呪詛するという過激な行動に出た。出産の際には、物の怪が取り憑いたとされる巫女たちが大暴れし、祈祷僧の怒号や巫女たちの叫び声が響き、その場はカオスな状況に。彰子はその中で無事に出産を終え、その強さと勇気は称賛に値する。

皇子の誕生により、道長の朝廷での権力は盤石なものとなった。その功労者は間違いなく、一条天皇と彰子の心を繋いだまひろであり、彼女と道長との絆もより一層強くなった。しかし、その2人に逆風が吹き始める。

彰子のそばに寄り添っていた倫子は道長と孫の誕生を喜んだが、明子は対抗心を燃やし、「殿の言いなりにはなりませぬ」と聞く耳を持たなかった。また、彰子の懐妊に複雑な心境を見せるのが敦康親王。定子の忘れ形見である彼は、彰子を母代わりに慕っており、彼女の本当の子供が生まれることで寂しさを感じていた。それでも、彰子は「子が生まれても親王様のお心を裏切るようなことは決してございませぬ」と誓い、2人の関係は姉と弟のようだった。

まひろは彰子の心を引き出し、彼女が能動的に行動するよう支援した。出産を前にして不安になった彰子も、「そなたがおればよい」と頼りにされる存在となった。その結果、まひろは他の女房たちから反感を買うことになった。

皇子の生誕50日を祝う「五十日の儀」では、藤原公任が「若紫はおいでですか?」と尋ね、まひろは「ここには光る君のような殿御はおられませぬ。ゆえに若紫もおりませぬ」と返答。宴の場では、道長がまひろに祝いの歌をリクエストし、彼女が「いかにいかが 数えやるべき 八千歳の あまり久しき 君が御代をば」と歌うと、道長も「あしたづの よはひしあらば 君が代の 千歳の数も 数へ取りてむ」と応えた。2人の息の合った歌合せに、女房たちは複雑な表情を浮かべた。

赤染衛門はまひろに道長との関係を問いただし、まひろは女房たちの間で孤立する危機に瀕した。仲の良かったききょうも「源氏物語」の存在を知り、まひろの立場はますます厳しくなっていく。

この第36話は、皇子誕生の喜びと、その裏で蠢く複雑な人間関係が描かれた、ドラマチックな展開が見どころだ。