『呪術廻戦』最終回迫る: バッドエンド懸念と作者のメッセージ

『呪術廻戦』最終回迫る: バッドエンド懸念と作者のメッセージ

『呪術廻戦』最終回間近、読者たちがバッドエンドを懸念

いよいよ最終回が間近に迫ってきた大人気ダークファンタジーマンガ『呪術廻戦』。9月24日発売の『週刊少年ジャンプ』43号に掲載された最新話では、物語がエピローグに突入しているが、ここにきて「バッドエンドを迎えるのではないか」と怯える読者が現れている。

最新話の展開

「呪いの王」にして「史上最強の術師」でもある両面宿儺との死闘を終えた、呪術高専サイドの呪術師たち。最新話にあたる第270話では、それぞれのキャラクターが日常を取り戻していく姿が描かれている。特に注目を浴びているのは、「夢の終わり」というどこか不穏なサブタイトルだ。

エピローグでは、もはや戦いの気配は一切なく、牧歌的な雰囲気が漂っている。しかし、これを「幸福な夢」と解釈するなら、ここから思わぬどんでん返しが待ち受けているのかもしれない。

キャラクターの名前の頭文字

また、「夢の」が虎杖悠仁・伏黒恵・釘崎野薔薇の“下の名前の頭文字”に対応しているという説もあり、ゆ(悠仁)、め(恵)、の(野薔薇)として解釈できる。今回のラストシーンでは、呪詛師に呪われた一般人の依頼を受け、3人が任務に動き出すところが描かれていた。「3人なら楽勝」という引きで、次回に続いているが、これも不穏なフラグのように見えてきてしまう。

作者のメッセージ

とはいえ、作者の芥見下々は以前、予想とは真っ向から反するメッセージを発信していた。8月19日にYouTubeで公開された動画「ジャンプPRESS」での発言だ。

動画内のコメントにて、芥見は残り5話で物語を締めくくることを予告しつつ、「『呪術廻戦』を支えてくれた、できるだけ多くの人達が納得できる(多分)最終回を鋭意制作中です」と宣言していた。これを踏まえて予想するなら、最終回が賛否両論を呼ぶ夢オチやバッドエンドになる可能性はさすがに少ないように思われる。

「夢の終わり」の意味

では、「夢の終わり」というサブタイトルは、一体何を意味しているのだろうか。物語の流れをまとめると、エピローグでは羂索によって生み出された“悪夢”のような世界が幕を閉じ、平和な現実がもどってきている。だとすると、「死滅回游の終了」という意味で受け取るのが妥当だろう。

また、虎杖は物語の始まりにおいて宿儺と出会い、悪夢のような日々に巻き込まれていった。そのことから考えると、夢の終わりとは主人公である虎杖の目線で「宿儺との戦い」が終わったことを意味しているのかもしれない。

さらに、もっと深読みするのであれば、五条悟の“夢”が叶ったことを示唆している……というのはどうだろうか。五条は圧倒的な力を持ちながらも、1人で呪術界を変えるのではなく、あえて教育者という意味を選び、「強く聡い仲間」を育成するために尽力してきた。多大な犠牲を生むことにはなったが、戦いを通して呪術高専の面々はそれぞれ飛躍的な成長を果たしている。なにせ五条が勝てなかった宿儺を倒したのは、ほかでもない五条の教え子たちだ。

だとすれば、「夢の終わり」というサブタイトルが1つの夢の実現を意味しているとしても、おかしくないのかもしれない。

アニメ版の描写

ちなみに、『呪術廻戦』のTVアニメ版では、各OPにおいて、登場人物が“眠る”シーンが頻出していた。第1期第1クール目のOPでは虎杖、第2期「懐玉・玉折」のOPでは五条の眠りが描かれている。あくまでアニメ版の要素ではあるが、こうした描写から「虎杖と五条の夢が終わった」という風に読み解くのも面白そうだ。

最終回への期待

予想を裏切る展開によって、読者の心を幾度も揺さぶってきた芥見。最後にふたたびその恐ろしい作風を見せ付けるのか、それとも順当なハッピーエンドで終わるのか……。最終回を覚悟して待とう。キットゥン希美