巨人の48度目の栄冠:菅野智之投手の奮闘と日本一への道

巨人の48度目の栄冠:菅野智之投手の奮闘と日本一への道

巨人のリーグ優勝を支えた菅野智之投手の手記

巨人が28日、4年ぶり48度目のリーグ優勝を達成した。チーム最多の15勝を挙げ、投手陣を支えた菅野智之投手(34)が手記を寄せ、右肘の故障で自己ワーストの4勝に終わった昨シーズンや日本一への思いを明かした。

優勝の瞬間

「五回のピンチで広島の矢野を三振に仕留め、雄たけびを上げる巨人の菅野」——この瞬間が、巨人の48度目のリーグ優勝を決定づけた。菅野は「めぐり合わせで回ってきた登板で、優勝を決められました。うれしいという簡単な言葉では片づけられない。ほっとしています」と、その瞬間の感情を語る。

15勝の成績

菅野は今季15勝を挙げたが、「不思議とできすぎだとは思いません。昔みたく馬車馬のように180イニング、190イニング、200イニングというわけにはいかないけど、自主トレから自分のことを見つめ直して頑張ってきたという自負はある。充実したシーズンになったと思います」と、自身の成績を振り返る。

昨年の苦悩

昨年は右肘の故障で4勝に終わり、菅野は「自分の中では2021年くらいから緩やかに(状態が)落ちていっている自覚はありました。年齢的なものもあるし、ここから自分の投球スタイルを確立していけばいい。そうやって逃げ道をつくっていたけど、どうにもならなくなったのが昨シーズンでした」と、昨年の苦悩を明かす。

変革の始まり

「体はどこも痛くないのに、ブルペンでは134、5キロしか出ない。このままだと終わる。一から自分を変えなきゃいけないと久保(巡回投手)コーチに泣きついて、そこから始まりました」と、菅野は変革の始まりを語る。

内海投手コーチの影響

「正直、今までは『必要とされている』という感覚になったことがあまりありませんでした。ほっておいても成績は残していただろうし、抑えて当たり前という雰囲気がありました。ただ、今季投手コーチとして内海さんが帰ってきて、就任後に真っ先に自分の名前を挙げて、『気持ちも理解できる』と言ってくださいました。その後、杉内(投手)コーチも交えてご飯に連れていってもらい、初めて、本当に僕のことを思って言葉をかけてくれていると思えた。ダメになってしまった僕のために、これだけ思ってくれる人を裏切れない。2人のために『絶対来年は』と思ってオフに入りました」と、内海投手コーチの影響を語る。

中島啓太の存在

「もう一つ、力になったのはもともと僕のファンだったという、男子ゴルフの中島啓太の存在です。昨年7月17日のヤクルト戦で1回持たずに6失点し、『これでもダメか』と思ったときでした。そのころ賞金ランキングでトップに立っていた彼と会食した際、僕に対して本当に目を輝かせてくれるんです。情けない。こんな自分を応援させちゃいけない、というのも原動力になりました」と、中島啓太の存在が自身のモチベーションに大きく影響したことを語る。

一軍不在の時間

「僕は一軍にいない時間を、プラスに考えたくありません。打たれようが何しようが、一軍に居続けることがすべてだと思ってきました。でも去年のあの期間は、間違いなく重要な時間だった。野球人生というより、人として生きる上で糧になったと思います」と、一軍不在の時間も自身の成長に寄与したと語る。

小林誠司との新鮮な感覚

「今年はキャッチャーが同い年の(小林)誠司に代わり、新鮮な感覚で投げられました。最近、同級生がみんな引退していくのを見て、あと何試合投げられるのかなと思うことがあります。そういうのを考えると、誠司は『苦しい』ってなるみたいで、試合の度に『緊張するわ』『どうしよう』っていうから、『誠司、どうせやるなら楽しんでやろうよ』と。オールスター明けくらいから、試合前のブルペンが終わってグータッチするときに『よし、今日も楽しんでいこうね』というのが2人の合言葉みたいになっていました。今年に関しては、誠司の存在が大きかった。この一年僕を引っ張ってくれた誠司には感謝したいです」と、小林誠司との新鮮な感覚が自身の投球に大きな影響を与えたと語る。

投手陣の成長

「中継ぎの登板数を管理した中で、先発が踏ん張って長いイニングを投げて、今季はそれがすごくうまくかみ合った。阿部監督、杉内コーチ、内海コーチのマネジメントはすごいなとみていました。戸郷は完全に独り立ちしたなと思うし、(井上)温大も成長した。支配下になった若い子たちも、新しい投手陣を形成してくれました。投手陣は何年後も安泰だと、僕は思っています」と、投手陣の成長とチームのマネジメントの成功を評価する。

日本一への思い

「もちろん、リーグ優勝は最低目標。ジャイアンツは日本一になって初めて評価される、数少ない球団だと僕は思っています。成績だけじゃなく、全ての面ですごいチームなんだ、というプライドはあります。日本一にはなりたい。でも、なりたいと言って簡単になれるものじゃない。19、20年はソフトバンクにコテンパンにされたけど、その時よりもチーム力がある。接戦をものにしてペナントレースを勝ってきたことは、これから始まるクライマックスシリーズや、日本シリーズで絶対に生きてくると思います」と、日本一への強い思いとチームの可能性を語る。

菅野智之投手の手記は、彼の苦悩と成長、そしてチームへの愛情を深く伝えるものとなっている。巨人の48度目のリーグ優勝は、菅野をはじめとする選手たちの努力と献身の結晶であり、今後の日本シリーズでもその力を発揮することが期待される。