巨人、優勝の喜びを胸に新たな戦いへ:若手の活躍と吉川の闘志

巨人、優勝の喜びを胸に新たな戦いへ:若手の活躍と吉川の闘志

優勝の余韻に浸りつつ、新たな挑戦へ

リーグ優勝から一夜明け、巨人は広島から東京に戻り、ヤクルトとの試合(神宮)に臨んだ。試合はサヨナラ負けで連勝は3でストップしたが、阿部慎之助監督(45)は祝勝会やビールかけについて「感動した」と振り返り、若手選手への成長を願う思いを語った。また、脇腹の激痛に耐えながら出場していた吉川尚輝内野手(29)の秘話も明かし、優勝の重みをかみしめた。次戦は10月2日のDeNA戦(東京D)で、これがレギュラーシーズンの最終戦となる。

新たな競争の幕開け

歓喜の胴上げ、涙の優勝から一夜明け、新たな競争が幕を開けた。阿部監督は広島からの移動試合となったヤクルト戦で主力を休ませ、若手主体の布陣を採用した。「今ファームの選手たちも頑張っているし、CSもどうなるか分からない。良さそうな子をベンチに入れるだけだからね」と、若手の活躍に期待を寄せた。試合は逆転サヨナラ負けとなったが、投手では西舘が3回無失点。打線は中山の3安打などで計10安打と収穫があった。

帰京と感謝の言葉

広島から空路で帰京した阿部監督は、大量に届いた祝福連絡に感謝の言葉を述べた。「LINEがえげつなくて、返しても返しても無理なので。皆さんにこの場をお借りして、ありがとうございましたと伝えたい。既読スルーになっちゃうから。だいぶ返してもまだ200件とか残ってる」。4年ぶりのVをかみしめ、ファンや関係者への感謝の気持ちを表現した。

祝勝会とビールかけ

前夜は午後11時から広島市内の宿舎で祝勝会とビールかけが行われた。選手からもビールをたっぷり浴びたが、「誰にかけられたか全然見えないんだよね。しみるから」と、極上の時間を堪能した。深夜1時半までテレビ収録に臨み、自室に戻った時の心境を「いやあ、感動したなと思って」と振り返った。

ビールかけ初体験の若手選手

投手では井上、野手では中山など、ビールかけ初体験の選手が多かった。2軍監督時代に厳しく鍛えたチルドレンが1軍戦力に成長。「ファームから知ってる選手には、この思い(ビールかけ)をしてほしいからこそ、あなたたち(メディア)が言った『鬼軍曹』になっていたわけだから。そのために厳しくしていたっていうのを理解してもらえたらうれしいな」。スローガン「新風」の通り、ベテランと若手が融合した。

主力の休養と若手の活躍

141試合目で優勝を決め、この日は勝ちパターンのケラー、バルドナード、大勢がベンチ外。野手では長野、坂本、丸がベンチ入りしたが休養のため出場しなかった。その中で吉川は「8番・二塁」で出場。2回の攻撃で代打を送られ打席に立たず交代した。

吉川尚輝の秘話

阿部監督は「なんか肋骨が。デッドボール(になりそうな球を)よけた時に自分(の肘)でゴーンと(打って)やっちゃった。ひっくり返った時に自分で。それでも座薬入れて痛み止め飲んで頑張ってたから」と、吉川の秘話を明かした。26日のDeNA戦(横浜)で内角球をよけて転倒した際に痛めたが、休まず優勝に導いていた。開幕から欠場なし。「満身創痍(そうい)だったからね。全試合したいんだったら代打でも守備でも」と、無理のない範囲で全試合出場をサポートする考えを示唆した。

神宮での祝福と新たな目標

試合後は神宮の大型ビジョンに優勝を祝うメッセージが表示され、ファンからも「おめでとう」の声が飛んだ。苦しみながらつかんだ頂点。すでに気持ちは日本一に向けて切り替えている。「(過去には)CSの怖さとかも味わっているからさ」。残りは1試合。若手はポストシーズンに向けた大事なアピールの場になる。セ・リーグの覇者、阿部巨人が次の目標へ動き出した。