老後の資金計画：年金8万円で生活するための戦略

老後の年金は「月8万円」：生活を支えるためにはどうすれば？

老後の年金が月8万円という状況は、多くの人々にとって不安を抱かせるものです。しかし、一部の人々は「老後にアルバイトすれば大丈夫」と考えています。果たして、この考え方は現実的でしょうか？本記事では、老後の年金が月8万円の場合、生活資金をまかなうためにどれだけ働く必要があるのかを、高齢単身者の平均的な支出を基に検討します。

65歳から70歳までの生活費と年金

総務省統計局が公表している2023年の家計調査報告によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は約15万円となっています。ただし、この統計では住居費が約1万3000円で見積もられていますが、賃貸住宅などで住居費の割合が多くなれば、さらに支出も増えることが予想されます。

年金8万円の場合の不足分

仮に貯蓄がほとんどなく、毎月の年金収入が8万円しかないとすると、残りの7万円をアルバイトなどで補う必要があります。月7万円を稼ぐにはどれくらい働けばよいのでしょうか？時給1100円で計算すると、次のようになります。

70000円 ÷ 1100円 ≒ 64時間
64時間 ÷ 4.5週 ≒ 14.2時間／週
14.2時間 ÷ 5日 ≒ 2.84時間／日

1ヶ月を4.5週とすると、7万円を稼ぐには週に14.2時間働く必要があります。1週間に5日間働く計算にすると、1日約3時間働けば、1ヶ月で7万円の収入を得ることができます。この計算だけを見ると、あまり心配する必要はないと感じるかもしれません。

高齢者の働き方の現実

しかし、現実には多くの人が、高齢になると体力の低下や健康面で、現役時代のようには働けなくなります。自分に適した高齢者向けの求人が見つかるという保証もありません。また、老後の生活では医療費などの急な出費が必要になる可能性もあるため、余裕を持った資金計画をしておきたいところです。

50代、60代からの貯蓄方法

ここまでは、不足分の生活資金をアルバイトで補うと仮定しましたが、生活費を補てんするには、貯蓄を取り崩して生活資金を補う方法もあります。以前、「老後2000万円問題」が話題になりましたが、仮に2000万円の貯蓄があった場合、毎月7万円を取り崩すと年間で84万円となり、2000万円を使い切るまでに20年以上持つ計算になります。

老後資金のための貯蓄を増やすためには、まず節約を心掛けて収入が支出を上回るようにすることが基本です。少しでも貯蓄に回せる金額を増やすために、無駄な支出がないか、毎月の出費をしっかりと把握しておきましょう。

また、資産運用で貯蓄を増やすのも有効な手段です。2024年に新しくなったNISA制度は少額の資産運用に適しています。無理のない範囲で積立投資を続けることで、貯蓄額を目標金額に近付けることができるかもしれません。