年金生活者の支援強化:「年金生活者支援給付金」で老後生活をサポート!高齢者世帯の経済状況と資産形成の現状
2019年10月1日より「年金生活者支援給付金制度」がスタートしました。この制度は、公的年金等の所得が一定基準以下の方に対して、生活支援を目的として給付金が支給されます。
対象者には9月から順次請求書が発送されるため、届いた際には申請が必要です。筆者はファイナンシャルアドバイザーとして、年金生活者の方々と話す機会がありますが、物価高が長引くことで家計に影響が出ている方が多いと感じています。年金は退職後の貴重な収入源ですが、時代とともに年金だけで生活することは困難になっています。
厚生労働省の2023年時点の生活意識調査によると、高齢者世帯の半数以上が生活が「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答しています。具体的には、高齢者世帯の結果は以下の通りです。
- 大変苦しい: 26.4%(前回18.1%)
- やや苦しい: 32.6%(前回30.2%)
- 普通: 36.7%(前回45.1%)
- ややゆとりがある: 3.9%(前回2.5%)
- 大変ゆとりがある: 0.4%(前回0.8%)
年金生活者にとって、食品やエネルギー価格の上昇が家計に大きな負担となっています。また、老後は主な収入が年金に限られる世帯も多く、医療や介護費用の増加も懸念材料となっています。
厚生労働省が公表する令和4年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月14万5000円ほどです。国民年金の平均受給額は5万6000円台で推移していますが、これだけで生活するのは難しいでしょう。厚生年金を受給する人においても、加入期間や現役時代の働き方によって受給額に個人差が生まれます。
年金生活者支援給付金は、老齢年金、障害年金、遺族年金の受給者に対して支給される給付金です。具体的な対象者と給付額は以下の通りです。
老齢年金生活者支援給付金
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が87万8900円以下
給付額は、保険料納付済期間と免除期間に基づいて算出されます。
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5310円 × 保険料納付済期間/被保険者月数480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1333円 × 保険料免除期間/被保険者月数480月
障害年金生活者支援給付金
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得が「472万1000円+扶養親族の数×38万円」以下
給付額は以下の通りです。
- 障害等級2級: 月額5310円
- 障害等級1級: 月額6638円
遺族年金生活者支援給付金
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得が「472万1000円+扶養親族の数×38万円」以下
給付額は以下の通りです。
- 月額5310円
- 2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5310円を子の数で割った金額をそれぞれに支給する
年金生活者支援給付金は、原則、偶数月の中旬に2カ月分(前月および前々月)を年金と同じ受取口座に支給されます。例えば、9月に請求手続きをした場合、10月分からの支払いとなるため、12月中旬に振り込まれることになります。
年金生活者支援給付金を受け取るには、年金生活者支援給付金請求書の提出が必要です。65歳になる3カ月前に、老齢基礎年金の請求書と併せて給付金請求書が送られてきます。同封の給付金請求書に記載事項を記入して、老齢基礎年金の請求書とあわせて提出しましょう。
すでに年金を受給している方で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる方にも、9月2日以降順次、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届きます。一度手続すると毎年手続きする必要はありません。ただし、繰上げ受給している場合は、書類の種類が異なりますので注意してください。
退職後のセカンドライフに向けて、年金だけで生活することは段々と難しくなっています。NISAやiDeCoなどが注目を集めていますが、その他にも様々な選択肢があります。どのような仕組みにもメリットとデメリットがあるため、自分に合った仕組みを選択しましょう。まずはライフプランについてシュミレーションを行うのがおすすめです。どのくらいのお金が必要か把握できれば、使うべき商品や投資する金額も決めることができます。必要なお金の見える化から始めて、将来お金に困らないよう準備を行いましょう。