<振り返れば奴がいる>: 医師たちの激突と運命の最終章

<振り返れば奴がいる>: 医師たちの激突と運命の最終章

「振り返れば奴がいる」は、1993年にフジテレビ系で放送された織田裕二と石黒賢主演のドラマ。熱血漢の青年医師・石川(石黒賢)と、若くして天才的なメスさばきを誇る司馬(織田裕二)が、医師としての信念を巡って激しく衝突していく様が描かれている。このドラマは、三谷幸喜が初めて脚本を担当した連続ドラマ作品としても知られており、スリリングで容赦ない男同士の戦いが特徴的だ。

最終話となる第11話では、安楽死問題の責任をとり、司馬が病院を辞めることになる。しかし、末期ガンを患う石川の病状が急変し、緊急手術が必要となる。沢子(千堂あきほ)は、その手術を司馬に頼むが、司馬は「オレは病院を辞める人間。それに助からない人間の手術はしない」と、病院を去ろうとする。それでも沢子は司馬に頼み続け、ようやく司馬は手術を引き受けることを決める。

春美(松下由樹)は、これまでの司馬と石川の関係を考えて「いやな予感がする」と言う。春美が石川に手術承諾書のサインを求めると、執刀医が司馬だと聞いた石川はサインを拒否し、「あいつに助けてもらいたくない。死んだ方がましだ」と言う。石川の命が尽きようとするその時まで続く、司馬との攻防戦は見ている方もゾクゾクする。

司馬は石川に「助かる可能性はゼロだ。それを俺が10%まで引き上げる。おまえは20%まで上げてくれ」と、石川の生命力を信じた言葉を吐く。手術が成功し、石川の命が助かるのかが最大のクライマックスとなる。

しかし、それだけでは終わらないのがこの作品の魅力。主題歌のCHAGE and ASKA「YAH YAH YAH」が流れる中、雪の舞う中、司馬が顔をしかめて病院を去るラストシーンで、司馬に悲運が待っている。このラスト1分ほどの出来事は、視聴者を驚かせる。

その後、放送された特別編「最後の戦い」では、司馬が雪の中で回想する形で、司馬と石川の激しい戦いが再び描かれる。暴力団同士の抗争で腹を撃たれた相楽(段田安則)が病院に来て春美がピストルで脅されたり、中川(鹿賀丈史)と稲村(佐藤B作)、良子(中村あずさ)が停電でエレベーターの中に閉じこめられたりなど、医師たちはてんやわんや状態。

本編では描かれなかった新撮の過去エピソードもファンにはうれしい。積み重なる因縁の数々が司馬と石川の関係を深め、また大いにこじらせていったことがよく分かる特別編である。現代はエンタメファンにとって、何年も語り継がれる名作をサブスクで一気見できる良い時代といえるだろう。