河村勇輝のNBA進出～グリズリーズとの契約とその先の道のり

河村勇輝（23歳）がメンフィス・グリズリーズとエグジビット10契約を結び、10月1日（日本時間2日）から始まるトレーニングキャンプに参加することが決まった。彼のNBA挑戦の道は、国際大会での活躍によって切り開かれた。2023年夏のFIBAワールドカップでは日本代表として活躍し、パリ五輪出場権獲得に貢献。さらに、パリ五輪でもスターティング・ポイントガードとして目覚ましい活躍を見せた。

河村の歩みは、日本人選手にとって珍しいルートだ。これまでの日本人選手は、アメリカの高校や大学、NBAのサマーリーグやマイナーリーグで実力を示すことが重要だった。しかし、河村は国際大会での活躍によってNBAからの評価を得た。彼の適応力と成長のスピードは特筆すべきで、大学からBリーグに舞台を移し、日本代表として次々と高いレベルでプレーしながら、環境にすばやく適応し、世界のトップスターたちと渡り合える力をつけてきた。

グリズリーズのトレーニングキャンプは、河村にとって最大のチャレンジとなる。ポイントガードとしてジャ・モラントやマーカス・スマート、スコティ・ピッペンJr.らとマッチアップし、リーグの最優秀守備選手賞に選出されたジャレン・ジャクソンJr.のような選手と対峙することになる。フィジカルやスピードに慣れ、自分の力を発揮する方法を見つけることが求められる。

グリズリーズのロスター状況では、開幕前の契約選手は13人で、2人の空きがある。労使協定により、開幕から2週間以内に14人目と契約する必要がある。河村の最高のシナリオは、契約がツーウェイ契約に切り替えられることだが、現時点でツーウェイ契約は3枠とも埋まっている。ピッペンJr.が本契約に切り替えられた場合、河村のツーウェイ契約の道が開ける可能性がある。

現実的には、河村は開幕前にカットされ、傘下のGリーグチーム、ハッスルで11月8日から始まるGリーグのシーズンを迎える可能性が高い。Gリーグでは、NBAのコールアップがグリズリーズに限られないため、実力が認められればNBA30チームのどこからのオファーでも受けることができる。来年夏にはNBAサマーリーグに出場するチャンスもある。

NBAという高い頂に挑むための河村の挑戦は、今、ようやく始まったところだ。