ジャガー横田が語る『極悪女王』と女子プロレス:"ブック"の真実とリング上の美学

ジャガー横田が語る『極悪女王』と女子プロレス:"ブック"の真実とリング上の美学

ジャガー横田さんが、Netflixのドラマ『極悪女王』について語りました。このドラマは1980年代の全日本女子プロレス(全女)を舞台に、ダンプ松本の知られざる物語を描いています。ジャガーさんは、ドラマの中で頻繁に使われる「ブック」という言葉について、実際のプロレス界では使われていないと指摘しました。

「ブック」という言葉は、ドラマの中で試合の勝敗を決める際の専門用語として使われていますが、ジャガーさんは48年間プロレスラーとして活動してきて、この言葉を一度も聞いたことがないと述べました。「ドラマの中で作った言葉だと思います」と語っています。

また、ジャガーさんはドラマがプロレスの試合が事前に決まっているという前提で描かれていることに触れ、「フィクションとしての物語だから様々な作りをしてもいいと思いますが、見ている方たちがあの物語を全部、本当だと思われたら私は残念に思います」と述べました。プロレスは、八百長だと思っている人もいれば、真剣勝負だと見ている人もいることから、視聴者がどのように感じるかは自由だとしながらも、「プロレスには『受けの美学』があります」と強調しました。試合の勝敗は3カウントやギブアップだけでなく、リング上で出す技の一発一発が勝負だと説明しています。

ドラマ『極悪女王』では、主人公のダンプ松本が過酷な家庭環境からプロレスの世界へ飛び込む姿が描かれています。ジャガーさんは、全女に入門した昭和の時代には、多くの選手が家庭の事情や経済的理由でプロレス界に入ってきたと語りました。自身も4人姉妹の長女として、両親が別居した後、母と二人で育ち、家計を助けるためにプロレスラーを目指したと明かしています。

ジャガーさんは15歳で全女に入門し、常に「逃げ場がない」という覚悟でプロレス界で生き抜くことを決意しました。「オーディションで合格してから、やめるにやめられないと思っていたのでハングリーでした」と振り返り、毎日基礎トレーニングを欠かさず、強い体を作り上げたと語っています。

ドラマのクライマックスでは、ダンプ松本と長与千種の敗者髪切りマッチが描かれています。この試合は1985年8月28日に大阪城ホールで行われた実際の試合を再現しています。ジャガーさんは、1983年5月7日に川崎市体育館で行われたWWWA世界シングル選手権で、覆面レスラーのラ・ギャラクティカとの髪切りマッチに敗れたことを明かしました。「髪切りマッチを日本で一番最初にやったのは私です」と語り、試合は負けたものの、髪の毛はすぐに伸びることや、再戦でやり返すことができると考え、この試合を良い思い出として語っています。

最後に、ジャガーさんはドラマ『極悪女王』を通じて女子プロレスの魅力を多くの人に伝えることができたことに感謝の意を示し、「ドラマを見て女子プロを初めて知った人もたくさんいると思うので、女子プロレスラーになるきっかけになってくれたらすごくうれしいです」と期待を寄せました。