話題沸騰!「極悪女王」主演のゆりやんレトリィバァ、渡米宣言がテレビ業界に衝撃
話題沸騰!「極悪女王」主演のゆりやんレトリィバァ、渡米宣言がテレビ業界に衝撃
Netflixの話題のドラマ「極悪女王」(9月19日配信)で主演を務めるお笑いタレント・ゆりやんレトリィバァの「渡米」宣言が、テレビ業界に大きな衝撃を与えている。その背景には、かつて「メディアの王様」と称されたテレビ業界の「没落」と、テレビマンたちの抱える複雑な感情がある。
ゆりやんの役割と評価
ゆりやんが演じるのは、1980年代に女子プロレス・ブームを牽引した「ダンプ松本」だ。当時、「ヒール」として絶大な人気を誇った「極悪女王」の知られざる苦悩と栄光を、ゆりやんは見事に演じきったと絶賛の声が上がっている。
芸能ライターは、「ゆりやん自身、ダンプ役を演じるために体重を40キロ増やすなど、役への意気込みには目を見張るものがありました。インタビューでも『(この作品に)出られて本当に良かった。すべての人生観が変わったというか、アップデートされたというか、本当に感謝しかないです』と、感慨深げに撮影時を振り返っていました」と語る。
オーディションと準備
ゆりやんが同ドラマのオーディションを受けたのは2020年秋。実際に撮影が始まる2022年7月までの間、肉体改造とプロレスの練習に熱心に取り組んだという。
オーディションを受けた理由について、ゆりやんは「(ダンプ役を射止めれば)アメリカで売れることができると思った」と語っている。もともと米映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』が好きで、アメリカへの憧れを強く持っていた彼女は、2019年に米オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』にも出場。満を持して「今年12月にアメリカに移住する」と宣言したのが今年5月だった。渡米することは10年近く前から決めていたそうだが、『極悪女王』を「名刺」代わりにアメリカでスターを目指すと語っている。
共演者の熱量
ゆりやんだけでなく、共演の女優・唐田えりか(長与千種役)や剛力彩芽(ライオネス飛鳥役)らの演技に込めた熱量もすさまじく、世界同時配信による「海外の反応」が早くも気になっている関係者は少なくない。
民放キー局の複雑な感情
一方で複雑な表情を浮かべるのが、民放キー局関係者だ。すでに『First Love 初恋』や『サンクチュアリ-聖域-』のように「世界的ヒット」が期待されているが、渡米宣言がなければ、各局ともゆりやんへの仕事のオファーをいろいろと企画・準備していたはずだった。しかし、彼女が次の活躍の舞台として選んだのは、憧れの米エンタメ界だった。日本のテレビはスルーされた格好になり、少なからずショックを受けている関係者は多い。
他のアメリカ挑戦者との違い
同じく「アメリカ挑戦」したお笑い芸人として、ピースの綾部祐二やウーマンラッシュアワーの村本大輔のケースが挙げられるが、この2人とゆりやんでは事情が大きく異なる。
綾部さんは相方の又吉直樹さんが芥川賞を受賞したことで本人の存在が霞みがちだったタイミングでの渡米で、一方の村本さんは政治的な発言が増え、ハレーションを忌み嫌う局側から敬遠され始めた矢先での米進出だった。一方、ゆりやんは『極悪女王』で注目を集めることは事前に分かっていたため、9月以降、テレビで活躍の舞台が用意されるのが想定された中での渡米宣言だった。
タレントとテレビの関係の変化
ひと言でいうと、タレントとテレビの関係が「もはやウィンウィンではなくなりつつあるのでは……」と感じている関係者が多い。例えば、昨年のM-1グランプリで優勝したお笑いコンビ『令和ロマン』は「ギャラの安さ」や「テレビは好きだけど、上の世代のものだと思っている」との認識から、「テレビに出ない」と宣言して話題を集めた。要は「知名度を得る手段」としてテレビはいまも有効だが、名前を売った後はもっと稼げるYouTubeやより華やかなステージに移るのが、選択肢の一つとしてフツーに存在する現実を突き付けられた。
その衝撃は大きく、テレビに出続けることが「成功への最適解」でなくなりつつある状況を前に、テレビマンの多くが複雑な感情を抱き始めている。
未来への不安と期待
Netflixで世界に顔を売り、本場・アメリカで勝負する——。ゆりやんさんの軌跡は、「日本のテレビのマイナーリーグ化を加速させる」と不安視する声が業界内では上がっている。もちろん彼女の活躍に期待する関係者が大半だが、一抹の寂しさはどうしても拭えません。
かつての「輝き」と「魅力」を失わせたのは誰か。それを考えることから、テレビの「復権」は始まるのかもしれない。