【経験活かし】元アイドル・北原佐和子、介護現場で18年間の実践と学びを語る

【経験活かし】元アイドル・北原佐和子、介護現場で18年間の実践と学びを語る

北原佐和子は1982年に「マイ・ボーイフレンド」でアイドル歌手としてデビューし、その後女優としても活躍を続けている。さらに、ホームヘルパー2級を皮切りに、介護福祉士、ケアマネジャー、准看護師の資格を取得し、芸能活動と介護の現場での実務を両立している。

北原はこのほど、2冊目の著書『ケアマネ女優の実践ノート』を上梓。この本では、42年間の女優歴と18年間の介護職歴を活かし、介護におけるコミュニケーションの大切さを解説している。特に、認知症の方との関わりを通じて、人とのつながりの重要性を実感し、それを伝えることを目指している。

北原は人見知りであるが、コミュニケーションの大切さを痛感し、目の前の相手の気持ちを想像しながら接することの重要性を現場で学んだ。利用者の中には頑固な方や心を閉ざしている方もいたが、高齢者や障がい者だからではなく、心を閉ざすきっかけはささいなことであることが多いと感じている。そのため、利用者との向き合い方や、失敗を恐れずに素直に気持ちを伝えることの大切さを強調している。

40代で介護業界に飛び込んだ北原は、最初の現場で苦労したこともあった。30軒の施設に電話をかけたが、女優業とのダブルワークという理由で断られ続け、最後の1軒でようやく機会を得た。その施設で、大声を上げながらテーブルを叩く利用者を見て「失敗した」と思ったが、そこで諦めずに取り組むことを決意した。

その後、生活困窮者との触れ合いを通じてソーシャルワーカーを目指したが、大学卒業が必須だったため断念。代わりに、利用者に合ったプランを立てられるよう、ケアマネジャーの資格取得を目指した。さらに、50代で看護学校に通い、准看護師の資格も取得した。

北原は、芸能活動の経験が介護の現場でも活きていると語る。女優として先輩の演技を学ぶ経験が、介護の現場で先輩のケアや利用者との接し方を学ぶことに役立っている。また、利用者の表情から何かを感じ取る能力も、女優の経験が活きている部分だ。

アイドル時代には、ファンの笑顔を見ることが喜びだったという北原。その感覚が、現在の介護現場で利用者の笑顔を見たいという思いにつながっている。利用者やその家族との関係性を大切にし、利用者が生き生きとした時間を過ごせるよう、日々努力している。

北原は、利用者にとっての日常を豊かで笑顔の多いものにすることを第一に考え、ケアマネとして利用者と向き合い続けたいと語っている。女優のお仕事もご縁があれば続けたいと意気込んでいる。

北原佐和子の著書『ケアマネ女優の実践ノート』は、主婦と生活社より発売中。