【中日】井上一樹新監督、チーム再生へ挑む 勝利と育成の二つの課題
井上一樹2軍監督が、3年連続最下位で退任した立浪和義監督の後任として新監督に昇格することが確実となった。10月8日、宮崎フェニックス・リーグで指揮を執る井上氏が球団からの要請を受諾したことが報じられた。
新任監督として、井上氏は育成と勝利の2大命題に取り組むことになりそうだ。まず来季を見据えて重要なのはチーム編成。特に注目されているのは、絶対守護神のライデル・マルティネスの去就だ。今季は60試合に登板し、43セーブをマークし、2年ぶり2度目のセーブ王に輝いた。球団は大幅な年俸増で慰留を図る構えだが、安定した力を発揮する抑えはどの球団も欲しがるピースであり、動向が注目されている。
また、今オフには左腕の小笠原慎之介がポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指している。2016年ドラフト1位入団の小笠原は、今季も24試合に登板し、5勝11敗、防御率3.12と勝ち星には恵まれなかったが、チームを支えた。
投手陣は今季、開幕投手の柳裕也が不振に悩まされ、大野雄大、涌井秀章といった主力投手も高齢化が進んでいる。希望の光は最優秀防御率(1.38)のタイトルに輝いた高橋宏斗やトミージョン手術から復帰した梅津晃大などだ。しかし、自慢のピッチングスタッフにも「空洞化」が心配されている。
上位浮上には打線強化が欠かせない。細川成也、オルランド・カリステら主軸とともに、移籍1年目でやや寂しい成績となった中田翔の再生も重要なポイントとなる。
一方、井上新監督は阪神ヘッドコーチ時代にも若手を育てるモチベーターとしての手腕が評価されている。今季は2軍監督としてチームを見守り、ブライト健太、鵜飼航丞、石川昂弥などブレイクが待たれる若手も多い。新監督の下で、これらの若手が本格的に覚醒するかどうかが注目される。
長く低迷するチームをどう蘇らせるか。補強含め、フロントの全面バックアップ体制も欠かせない。実直な人柄も評価されている新指揮官の手腕に期待が高まっている。